魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「昼から街に出かけるの。だけど、私にはどんなドレスを着ればいいかわからなくて」
「まあ! そういうことでしたら遠慮なく頼ってください。そのためにあたしがいるんですから」
ドン! と胸を叩き、カランは瞳を輝かせる。オティリエはコクコクとうなずいた。
「ちなみに、お出かけはお一人で? それともどなたかとご一緒なさるんですか?」
「え? えっと……」
【あっ、この反応はデートだ。オティリエ様って案外やるわね】
と、オティリエが返事をするより先に、カランが結論にたどり着く。オティリエは恥ずかしさのあまり真っ赤になってしまった。
(デートだなんて……ヴァーリック様は私をからかってるだけよね?)
数日間一緒にいてわかったが、ヴァーリックはオティリエの反応を見て楽しんでいる傾向がある。もしかしたら、王族の彼にとってはデートの定義からして一般人とは違うのかもしれない。けれど――
『おめかししてきてね。……楽しみにしてる』
オティリエは雑念を振り払い、鏡の前の自分に向き直る。
真相はどうあれ、ヴァーリックからはそう指定されているのだ。きちんとオーダーにこたえるべきだと言い聞かせる。
「まあ! そういうことでしたら遠慮なく頼ってください。そのためにあたしがいるんですから」
ドン! と胸を叩き、カランは瞳を輝かせる。オティリエはコクコクとうなずいた。
「ちなみに、お出かけはお一人で? それともどなたかとご一緒なさるんですか?」
「え? えっと……」
【あっ、この反応はデートだ。オティリエ様って案外やるわね】
と、オティリエが返事をするより先に、カランが結論にたどり着く。オティリエは恥ずかしさのあまり真っ赤になってしまった。
(デートだなんて……ヴァーリック様は私をからかってるだけよね?)
数日間一緒にいてわかったが、ヴァーリックはオティリエの反応を見て楽しんでいる傾向がある。もしかしたら、王族の彼にとってはデートの定義からして一般人とは違うのかもしれない。けれど――
『おめかししてきてね。……楽しみにしてる』
オティリエは雑念を振り払い、鏡の前の自分に向き直る。
真相はどうあれ、ヴァーリックからはそう指定されているのだ。きちんとオーダーにこたえるべきだと言い聞かせる。