魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
【しまった……結局我慢できなかった。だって、オティリエがあんまり可愛いことを言うから】


 次いで聞こえてくる心の声。ヴァーリックの鼓動の音までバッチリと届いてきて、オティリエは頬が真っ赤に染まる。


(先ほど『もう隠さなくていいかな?』って言われたけれど)


 実際に心の声が聞こえてくると、どうしてもドギマギしてしまう。これは本当に聞いても大丈夫な内容なのだろうか? ……そう尋ねたくなってしまう。


「ねえオティリエ、カランは君が誰と出かけるって想像していたの?」

「え? それは……エアニーさんかブラッドさんあたりじゃないかって。お二人は婚約者もいないし、面倒見が良さそうだからって想像してましたけど」

「そっか……」


 ヴァーリックが心のなかで小さく唸る。どうやら考えがまとまらないらしい。


「ヴァーリック様?」

「ああ、ごめん。……多分なんだけどさ」


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