魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
(私には聞こえるだけで、どうしたらいいかなんてわからない。だけど、ヴァーリック様なら解決策を見つけてくださるかも)
伝われ、と念じながら、オティリエは手のひらに自分の能力を集中させる。彼女が聞いている心の声と同じものがヴァーリックにも聞こえるように。働きはじめた翌日に、ヴァーリックと二人で訓練をしたときのことを思い出したのだ。
「オティリエ、僕にも聞こえる。ひとまず状況はわかった。だけどこれは……この声の主はどこにいるんだろう?」
「わかりません。これだけ人が多いからまったく特定ができなくて」
ヴァーリックはオティリエからそれだけ確認すると、離れたところに控えていた護衛騎士たちを呼んですぐに事態を説明する。騎士たちは一瞬だけ怪訝な表情をしたものの、他でもないヴァーリックからの要請だ。真剣な表情でうなずきあった。
「まずは広場の警備を担当している騎士たちに連絡を。不審な男性を見つけたらただちに対処するようにと」
「承知しました」
必要最低限の護衛を残し、騎士たちはヴァーリックの指令でそれぞれ動きはじめる。なおも聞こえる心の声に困惑しつつ、オティリエはゴクリと息を呑んだ。
伝われ、と念じながら、オティリエは手のひらに自分の能力を集中させる。彼女が聞いている心の声と同じものがヴァーリックにも聞こえるように。働きはじめた翌日に、ヴァーリックと二人で訓練をしたときのことを思い出したのだ。
「オティリエ、僕にも聞こえる。ひとまず状況はわかった。だけどこれは……この声の主はどこにいるんだろう?」
「わかりません。これだけ人が多いからまったく特定ができなくて」
ヴァーリックはオティリエからそれだけ確認すると、離れたところに控えていた護衛騎士たちを呼んですぐに事態を説明する。騎士たちは一瞬だけ怪訝な表情をしたものの、他でもないヴァーリックからの要請だ。真剣な表情でうなずきあった。
「まずは広場の警備を担当している騎士たちに連絡を。不審な男性を見つけたらただちに対処するようにと」
「承知しました」
必要最低限の護衛を残し、騎士たちはヴァーリックの指令でそれぞれ動きはじめる。なおも聞こえる心の声に困惑しつつ、オティリエはゴクリと息を呑んだ。