魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「……! ヴァーリック様、今の声聞こえましたか?」
オティリエは言いながら、ヴァーリックの手をグイッと引く。彼女はそのまま通路のほうへ向かって走りはじめた。
「オティリエ!?」
「さっき『いい子』って言ってるのが聞こえました。なにかを操っているみたいな発言も。男性はきっと一人じゃありません。おそらくは動物……大型犬か馬と一緒にいるんじゃないでしょうか?」
広場に動物――たとえば馬車がいきなり、しかも意図的に突っ込んできたらどうなるだろう? ……おそらくは負傷者が多数発生する。パニックだって起こるだろう。それだけで大きな被害が予想されるが、もしもそれだけで終わらなかったらどうだろう? たとえば犯人が広場のなかで刃物を振り回したりしたら……。
(心の声がどんどん大きくなってる。多分……ううん。声の主は間違いなくこっちにいる。もう少し、もう少し――)
「あれだわ!」
オティリエの瞳に加速しながら広場へと向かってくる馬車が飛び込んできた。
オティリエは言いながら、ヴァーリックの手をグイッと引く。彼女はそのまま通路のほうへ向かって走りはじめた。
「オティリエ!?」
「さっき『いい子』って言ってるのが聞こえました。なにかを操っているみたいな発言も。男性はきっと一人じゃありません。おそらくは動物……大型犬か馬と一緒にいるんじゃないでしょうか?」
広場に動物――たとえば馬車がいきなり、しかも意図的に突っ込んできたらどうなるだろう? ……おそらくは負傷者が多数発生する。パニックだって起こるだろう。それだけで大きな被害が予想されるが、もしもそれだけで終わらなかったらどうだろう? たとえば犯人が広場のなかで刃物を振り回したりしたら……。
(心の声がどんどん大きくなってる。多分……ううん。声の主は間違いなくこっちにいる。もう少し、もう少し――)
「あれだわ!」
オティリエの瞳に加速しながら広場へと向かってくる馬車が飛び込んできた。