魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
そうこうしている間に、馬車は市街地へと入っていった。王都の美しい街並みを眺めつつオティリエは静かに息を呑む。
「ちょっと! そういうの、田舎臭いって思われるからやめてよね」
「え? え……と」
「その『すごい! 綺麗!』みたいな表情よ。おのぼりさんって感じがしてみっともない。見ていてすごくイライラするわ。こんなんでも、あなたは私の妹なのよ? あなたがおかしな行動をすれば、私まで笑われてしまうわ。もっとアインホルン家の一員としての自覚を持ちなさい」
「……すみません、お姉様」
そんなことを言われても、オティリエにとってははじめて見る王都の街、外の世界なのだ。多少気分が高揚してしまうのは仕方がないことだろう。それでも、イアマと一緒にいる以上、そういった態度は微塵も出してはいけないらしい。今夜一日を乗り切れれば……そう思いつつ、オティリエの胃がキリキリと痛んだ。
「さあ、着いたぞ」
王宮に到着すると、オティリエは父親とイアマに続いて馬車を降りた。ずらりと並んだ貴族たちの馬車、大勢の人々に思わず圧倒されそうになる。
(ダメダメ。驚いたり感動したりしたら、またお姉様に怒られてしまうわ)
必死に平静を装いつつ、マナー講師に教わったとおりに立ち居振る舞う。すると周囲の――とりわけ男性からの視線を感じた。
「ちょっと! そういうの、田舎臭いって思われるからやめてよね」
「え? え……と」
「その『すごい! 綺麗!』みたいな表情よ。おのぼりさんって感じがしてみっともない。見ていてすごくイライラするわ。こんなんでも、あなたは私の妹なのよ? あなたがおかしな行動をすれば、私まで笑われてしまうわ。もっとアインホルン家の一員としての自覚を持ちなさい」
「……すみません、お姉様」
そんなことを言われても、オティリエにとってははじめて見る王都の街、外の世界なのだ。多少気分が高揚してしまうのは仕方がないことだろう。それでも、イアマと一緒にいる以上、そういった態度は微塵も出してはいけないらしい。今夜一日を乗り切れれば……そう思いつつ、オティリエの胃がキリキリと痛んだ。
「さあ、着いたぞ」
王宮に到着すると、オティリエは父親とイアマに続いて馬車を降りた。ずらりと並んだ貴族たちの馬車、大勢の人々に思わず圧倒されそうになる。
(ダメダメ。驚いたり感動したりしたら、またお姉様に怒られてしまうわ)
必死に平静を装いつつ、マナー講師に教わったとおりに立ち居振る舞う。すると周囲の――とりわけ男性からの視線を感じた。