魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「それはおまえが悪いだろう? そういうタイプの婚約者だってわかっているのに、なぜ目の前で他の女性に声をかける? 別にダンスだって婚約者と踊れれば十分だし、社交は仕事を通じてできるだろう?」
ブラッドはそう言いながら呆れたようにため息をつく。別の補佐官はいやいやと首を横に振った。
「せっかく美しい女性が目の前にいるのに挨拶もできないんじゃ勿体ないって思わない? どうせならお知り合いになりたいだろう? お近づきになりたいだろう? それに、そういう仕事とは別口の人脈を作っておけば今後仕事に生きるかもしれないし」
「まあ、それは一理あるが」
「……っていうか、すごいなオティリエさん。少し手を握るだけで他の人にも自分の能力を分け与えることができるんだ」
と、唐突に話題がオティリエへと戻ってくる。オティリエはドギマギしつつ、はいと返事をした。
「ヴァーリック様に教えていただいたんです。そういう能力の使い方があるって。はじめの頃はあまり上手にできなかったんですけど、練習するうちに安定して能力を発動できるようになりまして」
働きはじめて三カ月。当初約束したとおり、オティリエは定期的にヴァーリックと二人きりで会い、仕事の話や能力の特訓をしてもらっている。
必要なときに必要な能力を発揮できる――それが可能になったことがオティリエは嬉しい。
ブラッドはそう言いながら呆れたようにため息をつく。別の補佐官はいやいやと首を横に振った。
「せっかく美しい女性が目の前にいるのに挨拶もできないんじゃ勿体ないって思わない? どうせならお知り合いになりたいだろう? お近づきになりたいだろう? それに、そういう仕事とは別口の人脈を作っておけば今後仕事に生きるかもしれないし」
「まあ、それは一理あるが」
「……っていうか、すごいなオティリエさん。少し手を握るだけで他の人にも自分の能力を分け与えることができるんだ」
と、唐突に話題がオティリエへと戻ってくる。オティリエはドギマギしつつ、はいと返事をした。
「ヴァーリック様に教えていただいたんです。そういう能力の使い方があるって。はじめの頃はあまり上手にできなかったんですけど、練習するうちに安定して能力を発動できるようになりまして」
働きはじめて三カ月。当初約束したとおり、オティリエは定期的にヴァーリックと二人きりで会い、仕事の話や能力の特訓をしてもらっている。
必要なときに必要な能力を発揮できる――それが可能になったことがオティリエは嬉しい。