魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
34.嫌なんですか?
ヴァーリックの様子がなにやらおかしい。彼からズキズキ、モヤモヤといった普段とは違う音が聞こえてくるし、表情もなんだか辛そうだ。
(ヴァーリック様、どうなさったのかしら? もしかして、お体の具合が悪いとか?)
オティリエがそう思った途端、ブフッと盛大な吹き出し笑いが聞こえてくる。誰だろうと顔を上げてみれば、笑い声を上げたのは彼女に手を握られている補佐官だった。どうしたのだろう? と首を傾げるオティリエに、補佐官はフッと目を細めて笑う。
【違うよ、違う。そうじゃないんだよ、オティリエさん】
(え? 違う? そうじゃない?)
心読みの能力を分け与えている彼にもオティリエと同じようにヴァーリックの心の声が聞こえたはずだ。しかし、違う、と断言されるのであれば、体調が悪いわけではないのだろう。
(だったら、ヴァーリック様はどうして……)
心のなかで会話を交わしていると、ヴァーリックが「んんっ」と小さく咳払いをした。
(ヴァーリック様、どうなさったのかしら? もしかして、お体の具合が悪いとか?)
オティリエがそう思った途端、ブフッと盛大な吹き出し笑いが聞こえてくる。誰だろうと顔を上げてみれば、笑い声を上げたのは彼女に手を握られている補佐官だった。どうしたのだろう? と首を傾げるオティリエに、補佐官はフッと目を細めて笑う。
【違うよ、違う。そうじゃないんだよ、オティリエさん】
(え? 違う? そうじゃない?)
心読みの能力を分け与えている彼にもオティリエと同じようにヴァーリックの心の声が聞こえたはずだ。しかし、違う、と断言されるのであれば、体調が悪いわけではないのだろう。
(だったら、ヴァーリック様はどうして……)
心のなかで会話を交わしていると、ヴァーリックが「んんっ」と小さく咳払いをした。