魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
(婚約者ができたらきっと、今のようにはヴァーリック様と過ごせなくなるのよね)
そう思うと少しだけ……いや、かなり寂しい。
オティリエはヴァーリックが大好きだ。いつまでも側にいたいとそう思う。けれど、もしも結婚相手が補佐官に女性がいることを嫌がったら、配置換えだって必要かもしれない。……ヴァーリックと離れ離れになってしまうかもしれない。
(もっと……もっと私に実力や実績があったら。補佐官として必要不可欠だって、みんなにそう思ってもらえたら)
そうすれば、ずっと補佐官でいられるだろうか? ヴァーリックの隣にいられるだろうか?
どれだけ褒めてもらえても、認めてもらえても、まだまだ足りない。このままではいけないのだ――オティリエがそう思ったそのときだった。
「オティリエ?」
背後から誰かに声をかけられる。補佐官たちとも顔なじみの騎士たちとも違う声だ。
「はい……?」
振り返り、オティリエは小さく息をのむ。黒髪に紫色の瞳、スラリとした長身の男性がオティリエのことを見つめている。確証はないものの見覚えのある顔だ。
そう思うと少しだけ……いや、かなり寂しい。
オティリエはヴァーリックが大好きだ。いつまでも側にいたいとそう思う。けれど、もしも結婚相手が補佐官に女性がいることを嫌がったら、配置換えだって必要かもしれない。……ヴァーリックと離れ離れになってしまうかもしれない。
(もっと……もっと私に実力や実績があったら。補佐官として必要不可欠だって、みんなにそう思ってもらえたら)
そうすれば、ずっと補佐官でいられるだろうか? ヴァーリックの隣にいられるだろうか?
どれだけ褒めてもらえても、認めてもらえても、まだまだ足りない。このままではいけないのだ――オティリエがそう思ったそのときだった。
「オティリエ?」
背後から誰かに声をかけられる。補佐官たちとも顔なじみの騎士たちとも違う声だ。
「はい……?」
振り返り、オティリエは小さく息をのむ。黒髪に紫色の瞳、スラリとした長身の男性がオティリエのことを見つめている。確証はないものの見覚えのある顔だ。