魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「それはおかしいな……。状態が悪くならないよう神殿には宝物を適切に管理をする義務がある。専門家を雇うための資金だって渡しているはずだ。帳簿にだって費用は計上されていたはずだけど……」
「そ、それは……その! 私自身が宝物庫を最後に確認した時期がわからなかったというだけで、当然、そういったことはきちんとですね……」
「それに、僕たちが視察に来ることは事前にわかっていただろう? まさか現物も確認もせずに視察用の資料を作ったの?」
「いえ、それは……まさか宝物を盗まれるなんて思っていなかったもので。――毎年同じ数を計上していたものですから」
宝物はいつの間にか失くなっていた。だから自分に落ち度はない……神官長はそういう筋書きでこの場をやり過ごそうとしていたのだろう。けれど、ヴァーリックは管理責任を問いながら、ジワジワと彼を追い詰めていく。
【どうせ現物を確認されることはないと踏んでいたんだろう? 舐められたものだな……】
心のなかでそうつぶやくヴァーリックはとても歯がゆそうだ。オティリエは胸がチクリと痛んだ。
「そ、それは……その! 私自身が宝物庫を最後に確認した時期がわからなかったというだけで、当然、そういったことはきちんとですね……」
「それに、僕たちが視察に来ることは事前にわかっていただろう? まさか現物も確認もせずに視察用の資料を作ったの?」
「いえ、それは……まさか宝物を盗まれるなんて思っていなかったもので。――毎年同じ数を計上していたものですから」
宝物はいつの間にか失くなっていた。だから自分に落ち度はない……神官長はそういう筋書きでこの場をやり過ごそうとしていたのだろう。けれど、ヴァーリックは管理責任を問いながら、ジワジワと彼を追い詰めていく。
【どうせ現物を確認されることはないと踏んでいたんだろう? 舐められたものだな……】
心のなかでそうつぶやくヴァーリックはとても歯がゆそうだ。オティリエは胸がチクリと痛んだ。