魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「はじめまして、妃殿下。わたくしアインホルン侯爵が娘、イアマと申します。以後お見知りおきを」
イアマはそう言って深々とカーテシーをする。美しい所作に周囲から感嘆の声が漏れた。ついつい見入っていたオティリエだったが、王妃と目があったため、姉にならって挨拶をした。
「はじめまして、妃殿下。私は二女のオティリエと申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
心臓がドキドキと鳴り響く。精一杯頑張ったものの、オティリエの声は震えてしまった。これだけ大勢の前に出るのははじめてだし、普段からほとんど声を出さない生活を送っているのだから当然だ。しかし、そんなことは周りの人間には関係ない。挨拶がうまくできなかったことにオティリエは凹んでしまう。
【さすがオティリエ。見事にわたくしの引き立て役になってくれたわね。無様なカーテシーに情けない挨拶。これでわたくしの完璧な挨拶が際立ったに違いないわ】
その瞬間、嬉しそうなイアマの声が聞こえてきた。心が余計に沈んでいくのを感じつつ、恐る恐る顔を上げる。すると、王妃がオティリエに向かってニコリと微笑んだ。
【やっぱり私の思ったとおり。とても可愛らしい令嬢だわ】
(え……?)
今のはオティリエに対して思ったことで合っているのだろうか? ……いや、そんなまさかと思い直し、オティリエはもう一度姉の後ろに下がった。
イアマはそう言って深々とカーテシーをする。美しい所作に周囲から感嘆の声が漏れた。ついつい見入っていたオティリエだったが、王妃と目があったため、姉にならって挨拶をした。
「はじめまして、妃殿下。私は二女のオティリエと申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
心臓がドキドキと鳴り響く。精一杯頑張ったものの、オティリエの声は震えてしまった。これだけ大勢の前に出るのははじめてだし、普段からほとんど声を出さない生活を送っているのだから当然だ。しかし、そんなことは周りの人間には関係ない。挨拶がうまくできなかったことにオティリエは凹んでしまう。
【さすがオティリエ。見事にわたくしの引き立て役になってくれたわね。無様なカーテシーに情けない挨拶。これでわたくしの完璧な挨拶が際立ったに違いないわ】
その瞬間、嬉しそうなイアマの声が聞こえてきた。心が余計に沈んでいくのを感じつつ、恐る恐る顔を上げる。すると、王妃がオティリエに向かってニコリと微笑んだ。
【やっぱり私の思ったとおり。とても可愛らしい令嬢だわ】
(え……?)
今のはオティリエに対して思ったことで合っているのだろうか? ……いや、そんなまさかと思い直し、オティリエはもう一度姉の後ろに下がった。