魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
***
けれど、それからふた月が経っても、神殿と貴族とのつながりは見つからなかった。通常業務をこなしながら毎日毎晩現場から届けられる資料を読み込み、調査を続けているというのに、糸口がまったく見つからない。
(ヴァーリック様は必ず見つけられるっておっしゃっていたけど……)
生き残った神官たちを問い詰めても、彼らはなにも知らないという。オティリエの能力で心の声まで聞いたのだから決して嘘ではないはずだ。神殿と取引のあった業者等にも事情を聞いているが、有力な情報は掴めていない。調査は暗礁に乗り上げていた。
(このままなにも見つからなかったらどうしよう?)
もうすぐ雪解けの時期を迎える。いつ王都に攻め入られてもおかしくない状況だ。焦るなというほうが無理があった。
「失礼いたします、補佐官の方にお取次ぎを」
と、執務室に来訪者がやってくる。オティリエは急いで来訪者の元へと向かった。
「お疲れ様です。こちらの書類にヴァーリック様の決裁をいただきたくて……」
書類を渡されチラリと目を走らせる。どうやら年度初めに必ず決裁をとる定型的なもののようだ。
けれど、それからふた月が経っても、神殿と貴族とのつながりは見つからなかった。通常業務をこなしながら毎日毎晩現場から届けられる資料を読み込み、調査を続けているというのに、糸口がまったく見つからない。
(ヴァーリック様は必ず見つけられるっておっしゃっていたけど……)
生き残った神官たちを問い詰めても、彼らはなにも知らないという。オティリエの能力で心の声まで聞いたのだから決して嘘ではないはずだ。神殿と取引のあった業者等にも事情を聞いているが、有力な情報は掴めていない。調査は暗礁に乗り上げていた。
(このままなにも見つからなかったらどうしよう?)
もうすぐ雪解けの時期を迎える。いつ王都に攻め入られてもおかしくない状況だ。焦るなというほうが無理があった。
「失礼いたします、補佐官の方にお取次ぎを」
と、執務室に来訪者がやってくる。オティリエは急いで来訪者の元へと向かった。
「お疲れ様です。こちらの書類にヴァーリック様の決裁をいただきたくて……」
書類を渡されチラリと目を走らせる。どうやら年度初めに必ず決裁をとる定型的なもののようだ。