魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
あの夜、ヴァーリックは『ずっと側にいてほしい』と言ってくれたけれど、もしもお相手の女性がヴァーリックの側で女性補佐官が働くことを嫌ったらどうなるのだろう? 神殿の件でオティリエの株はあがったものの、別に王太子の補佐官でなくとも文官のポストなんて腐るほどある。他の場所でいいだろう? と言われてしまえばそれまで。オティリエの意向が通るはずもない。
(嫌だな)
心のなかでつぶやきつつ、オティリエはハッと首を振る。
ヴァーリックに生涯の伴侶を見つけることは補佐官にとって重要な仕事だ。決して悲しんだり嫌がったりするべきではない。
(私ったら、なんてことを……)
そんなことを考えている自分に嫌気が差す。
オティリエはグッと拳を握りつつ、ゆっくりと顔を上げた。
「わかりました。ヴァーリック様の補佐官として、しっかり頑張ってまいります」
「うん……頼んだよ、オティリエ」
ヴァーリックはそう言ってオティリエのことをじっと見つめる。どこか熱のこもった眼差しにオティリエは少し戸惑ってしまう。
(なにか他にも伝えたいことがあるのかしら?)
……そう思うけれど、心の声が聞こえない。おそらくは聞かれたくないことなのだろう。そんなふうに結論づけて、オティリエはヴァーリックの執務室をあとにした。
(嫌だな)
心のなかでつぶやきつつ、オティリエはハッと首を振る。
ヴァーリックに生涯の伴侶を見つけることは補佐官にとって重要な仕事だ。決して悲しんだり嫌がったりするべきではない。
(私ったら、なんてことを……)
そんなことを考えている自分に嫌気が差す。
オティリエはグッと拳を握りつつ、ゆっくりと顔を上げた。
「わかりました。ヴァーリック様の補佐官として、しっかり頑張ってまいります」
「うん……頼んだよ、オティリエ」
ヴァーリックはそう言ってオティリエのことをじっと見つめる。どこか熱のこもった眼差しにオティリエは少し戸惑ってしまう。
(なにか他にも伝えたいことがあるのかしら?)
……そう思うけれど、心の声が聞こえない。おそらくは聞かれたくないことなのだろう。そんなふうに結論づけて、オティリエはヴァーリックの執務室をあとにした。