魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
***


 私室に戻ると、侍女のカランがオティリエのことを出迎えてくれる。


「オティリエ様! よかった、お待ちしておりました。実はオティリエ様に贈り物が届いているんです。こちらなんですけど……」

「贈り物?」


 可愛らしいラッピングの大きな箱を見つめつつ、オティリエはそっと首を傾げる。


「一体どなたから?」

「わかりません。メッセージカードがついてなくて……。だけど、騎士の方から直接手渡されたので、怪しいものではないと思うんですけど」

「騎士の方?」


 オティリエと面識のある騎士といえばフィリップらヴァーリックの護衛や、仕事でやりとりをしたことのあるほんの数人程度だ。とはいえ、贈り物をされるような間柄ではないと思うのだが。


「なにかしら?」


 オティリエは首をひねりつつラッピングをほどいていく。箱を開け、彼女は思わず目を見開いた。


「うわぁ……!」

「綺麗……」


 先に声をあげたのはカランだ。ついでオティリエも感嘆の声をあげる。
 中身は美しいドレスだった。フリルとレースのふんだんにあしらわれた上品かつ愛らしい一着で、オティリエはほぅとため息を漏らす。


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