魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「あの、お仕事の話でしたら執務室に戻ってから……」
「仕事の話がしたいわけじゃないよ。さっき僕が話していたこと、聞いていただろう? 大事な用事があるって。……君を誘いたかったんだ」
ヴァーリックはそう言ってオティリエのことをじっと見つめる。熱い眼差しに真剣な表情。思わず目を背けたくなりながら、オティリエは「そうですか」と返事をする。
「それじゃあ行こうか」
オティリエはヴァーリックに手を引かれ、再びお茶会の会場へと舞い戻った。
***
テーブルにつくとすぐに熱々のお茶が運ばれてくる。いつの間にやら片付けが進んでおり、これが最後の一脚だ。
(よかった……。なんだか改まった雰囲気だったし、ふたりきりだとさすがに緊張してしまうけど)
周りには侍女や文官たちが控えている。オティリエは密かに胸をなでおろした。
「お茶の準備をありがとう。みんなは下がっていてくれる?」
(えっ?)
と、安心したのも束の間、ヴァーリックがそんな指示を出してしまう。オティリエが引き止めるまもなく、彼らは「承知しました」と言って姿を隠してしまった。
(どうしよう)
ドキドキとオティリエの心臓が鳴り響く。ヴァーリックを相手にこんなふうに緊張する必要はない――そうわかっているのに、勝手にいろんな想像をしてしまって、それがたまらなく恥ずかしく申し訳なくて、オティリエは首を横に振る。
(違う……違うわ。ヴァーリック様は私とお茶をしたいだけ。それ以上でも以下でもないのよ)
緊張をごまかすため、オティリエはティーカップに口をつける。熱いお茶が喉と胸を焼くような心地がして、彼女はギュッと目をつぶった。
「仕事の話がしたいわけじゃないよ。さっき僕が話していたこと、聞いていただろう? 大事な用事があるって。……君を誘いたかったんだ」
ヴァーリックはそう言ってオティリエのことをじっと見つめる。熱い眼差しに真剣な表情。思わず目を背けたくなりながら、オティリエは「そうですか」と返事をする。
「それじゃあ行こうか」
オティリエはヴァーリックに手を引かれ、再びお茶会の会場へと舞い戻った。
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テーブルにつくとすぐに熱々のお茶が運ばれてくる。いつの間にやら片付けが進んでおり、これが最後の一脚だ。
(よかった……。なんだか改まった雰囲気だったし、ふたりきりだとさすがに緊張してしまうけど)
周りには侍女や文官たちが控えている。オティリエは密かに胸をなでおろした。
「お茶の準備をありがとう。みんなは下がっていてくれる?」
(えっ?)
と、安心したのも束の間、ヴァーリックがそんな指示を出してしまう。オティリエが引き止めるまもなく、彼らは「承知しました」と言って姿を隠してしまった。
(どうしよう)
ドキドキとオティリエの心臓が鳴り響く。ヴァーリックを相手にこんなふうに緊張する必要はない――そうわかっているのに、勝手にいろんな想像をしてしまって、それがたまらなく恥ずかしく申し訳なくて、オティリエは首を横に振る。
(違う……違うわ。ヴァーリック様は私とお茶をしたいだけ。それ以上でも以下でもないのよ)
緊張をごまかすため、オティリエはティーカップに口をつける。熱いお茶が喉と胸を焼くような心地がして、彼女はギュッと目をつぶった。