魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「さっきのお茶会だってそうだ。君が他の子に声をかけて楽しませてくれたから――おかげで招待客を失望させずに済んだ。これまで君の温かい気遣いにどれほど救われてきたか……」

「それは……私に心を読む能力があるから。わかるから『なにかしなくちゃ』と思うだけで」

「そうだね。だけど、与えられた能力をどう使うかはその人次第だと思わない? オティリエは素晴らしい女性だよ」


 ヴァーリックの言葉にオティリエはうつむいてしまう。「そうですね」と肯定できるほど自分は強くない。自信なんて持てない。なんと返事をすればいいかわからず、オティリエは頭を悩ませる。


「母上も僕と同意見だ。君の丁寧かつ熱心な仕事ぶりも、女性らしい気遣いも、素晴らしいって手放しで褒めていた。君になら妃を任せられるって……君がいいと言ってくれた。僕の意見を、感情を尊重すると言ってくれた」


 説明をしながら、ヴァーリックがオティリエの顔を覗き込む。うながされ、オティリエはゆっくりと顔を上げる。ヴァーリックは深呼吸をしたあと、オティリエをまじまじと見つめた。


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