魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「それは……妃という仕事に対してですか? だとしたら、あなたほど適任者はいないと思います。補佐官として働いてきた実績もありますし、適応力、吸収力も申し分ない。心の声が聞こえるという唯一無二の能力がありますし、オティリエさんなら妃として十分にやっていけます。僕たち補佐官も、あなたになら心からお仕えできると、そう思っているんですよ」
「エアニーさん……」
はじめて聞いた彼の本音。そんなふうに思ってくれていたのだと、オティリエは涙が出そうになってしまう。
「ありがとうございます。だけど……多分違うんです。私が不安に思っていることはそうじゃない」
「違う? とはどういう?」
これまで漠然としていたオティリエの『不安』の形がだんだんとハッキリ見えてくる。エアニーが浮き彫りにしてくれたから――ようやく結論に辿り着けそうな気がしてきた。
「私はただ……ただヴァーリック様に幸せになってほしいんです。誰よりも、なによりも幸せになっていただきたいんです。だから……だから…………」
言葉にすると涙が出る。エアニーは小さく目を見開き、それから困ったようにほほえんだ。
「そうですか」
優しい声音。エアニーにはオティリエの気持ちが痛いほどわかるのだろう。きっとこの世界の誰よりも。彼の望みもまた、オティリエと同じはずだから。
「エアニーさん……」
はじめて聞いた彼の本音。そんなふうに思ってくれていたのだと、オティリエは涙が出そうになってしまう。
「ありがとうございます。だけど……多分違うんです。私が不安に思っていることはそうじゃない」
「違う? とはどういう?」
これまで漠然としていたオティリエの『不安』の形がだんだんとハッキリ見えてくる。エアニーが浮き彫りにしてくれたから――ようやく結論に辿り着けそうな気がしてきた。
「私はただ……ただヴァーリック様に幸せになってほしいんです。誰よりも、なによりも幸せになっていただきたいんです。だから……だから…………」
言葉にすると涙が出る。エアニーは小さく目を見開き、それから困ったようにほほえんだ。
「そうですか」
優しい声音。エアニーにはオティリエの気持ちが痛いほどわかるのだろう。きっとこの世界の誰よりも。彼の望みもまた、オティリエと同じはずだから。