魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
54.来訪者
オティリエとヴァーリックの婚約はあっという間に国中に知れ渡った。祝福モードに包まれる人々だったが、全員というわけではない。やがてそれはイアマの耳にも届くこととなり、アインホルン邸に怒号が飛んだ。
「どういうことなの、お父様! オティリエがヴァーリック殿下と婚約するだなんて!」
イアマの金切り声に使用人たちが震え上がる。父親はため息をつきつつイアマに座るよう促した。
「冗談でしょう? 一体いつの間にそんな話になっているのよ? 第一、妃選びっていうのはある程度段階を踏んで行うものじゃないの? こんなにいきなり婚約者を発表するなんて他の貴族たちからも反発されるわ! 認められるはずが……」
「実は先日、ヴァーリック殿下の妃を選ぶために妃殿下主催のお茶会が開かれたのだ。だから、決して段階を踏んでいないわけでは……」
「は?」
イアマが再び声を荒げる。
「なにそれ。そんなお茶会があったなんてわたくしは聞いてない! なんで!? どうしてわたくしが呼ばれていないのよ! 誰よりも美しく、妃にふさわしいわたくしが! どうして!?」
あまりの剣幕に父親はたじろいだものの、イアマのことをじろりと見つめた。
「どういうことなの、お父様! オティリエがヴァーリック殿下と婚約するだなんて!」
イアマの金切り声に使用人たちが震え上がる。父親はため息をつきつつイアマに座るよう促した。
「冗談でしょう? 一体いつの間にそんな話になっているのよ? 第一、妃選びっていうのはある程度段階を踏んで行うものじゃないの? こんなにいきなり婚約者を発表するなんて他の貴族たちからも反発されるわ! 認められるはずが……」
「実は先日、ヴァーリック殿下の妃を選ぶために妃殿下主催のお茶会が開かれたのだ。だから、決して段階を踏んでいないわけでは……」
「は?」
イアマが再び声を荒げる。
「なにそれ。そんなお茶会があったなんてわたくしは聞いてない! なんで!? どうしてわたくしが呼ばれていないのよ! 誰よりも美しく、妃にふさわしいわたくしが! どうして!?」
あまりの剣幕に父親はたじろいだものの、イアマのことをじろりと見つめた。