魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
(なんで? どうして? みんなおかしくなってしまった。あの夜会の夜から。……まさか! あの男が元凶なの……!?)
ドクンドクンと心臓が嫌な音を立てて鳴り響く。
唯一イアマの魅了の影響を受けなかった男――王太子ヴァーリック。彼は本当にイアマの能力を無効化できるのかもしれない。そして、もしも他の人間にもその能力を分け与えられるのだとしたら――!
(辻褄が合うわ)
少しずつ少しずつ使用人たちの様子がおかしくなっていったこと。兄であるアルドリッヒの態度。それから父親すらもイアマを見放したことまで、すべて。
「どこまでわたくしを苦しめれば気が済むの? ……ふざけるんじゃないわよ!」
怒りのあまり、イアマの髪がぶわりと逆立つ。ついで放たれる強烈な気。前方にいた使用人たちがバタバタと気を失っていく。後方にいるものも立っているのがやっとだった。
「あっ、イアマ様!」
そうしているあいだにイアマが屋敷を飛び出していく。けれど、使用人たちはまるで縫い止められてしまったかのようにその場から動くができない。彼らはただ、オティリエの無事を祈ることしかできなかった。
ドクンドクンと心臓が嫌な音を立てて鳴り響く。
唯一イアマの魅了の影響を受けなかった男――王太子ヴァーリック。彼は本当にイアマの能力を無効化できるのかもしれない。そして、もしも他の人間にもその能力を分け与えられるのだとしたら――!
(辻褄が合うわ)
少しずつ少しずつ使用人たちの様子がおかしくなっていったこと。兄であるアルドリッヒの態度。それから父親すらもイアマを見放したことまで、すべて。
「どこまでわたくしを苦しめれば気が済むの? ……ふざけるんじゃないわよ!」
怒りのあまり、イアマの髪がぶわりと逆立つ。ついで放たれる強烈な気。前方にいた使用人たちがバタバタと気を失っていく。後方にいるものも立っているのがやっとだった。
「あっ、イアマ様!」
そうしているあいだにイアマが屋敷を飛び出していく。けれど、使用人たちはまるで縫い止められてしまったかのようにその場から動くができない。彼らはただ、オティリエの無事を祈ることしかできなかった。