魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「どうやって? ふふ……いろいろと対策をしてくださったことは認めるけど、わたくしが本気を出せばどうってことなかったわ。だって、魅了の能力があればわざわざ正面突破する必要なんてないもの。さすがの殿下も招待客や城内にいる全員に対して魅了対策なんてできないでしょう? まあ、そこに倒れている護衛をどかすのはちょっと手こずってしまったけど、あなたの能力も絶対的なものではないってことがわかったことだし結果オーライかしら?」


 アハハ! と高笑いをしながら、イアマが二人に近づいてくる。ヴァーリックはオティリエを自分の後ろに隠しつつ、眉間にグッとシワを寄せた。


「それで? オティリエになんの用だい?」

「決まっているでしょう? オティリエなんかに妃が務まるわけがないもの! わたくしがかわってあげようと思いましたの。だって、不細工で陰気で、なんのとりえもない無能で野暮な女が妃になるなんてありえないわ。っていうか誰も認められない。そうでしょう?」

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