魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「大体、前にも言っただろう? 僕は君を聡明とは思わないし、なんの魅力も感じない。イアマ嬢が妃候補になることはないって。それなのにオティリエとかわろうだって? 無理に決まってるだろう? そもそも、僕にとってオティリエはかけがえのない存在だ。彼女のかわりは他の誰にもつとまらない。絶対にだ」
「くっ……!」
鋭い眼差しが、言葉が、イアマの全身を焼くかのよう。ふつふつと身体の奥から湧き上がる怒りにイアマは髪の毛をかきむしった。
【悔しい! こんなのってないわ! あの子のものは全部全部奪ってやった! わたくしがあの子の分の幸せまですべてを手に入れたはずだった! それなのに、むしろわたくしのほうが奪われているじゃない! お父様も、お兄様も使用人たちも! みんなわたくしの側からいなくなった! わたくしにはもうなにも残っていない。全部オティリエのせいだわ!】
許せない。認められるはずがない。イアマはキッと顔を上げた。
「……消えなさいよ」
「え?」
「あんたなんか消えちゃえばいいのに!」
その途端、ぶわりと周りの空気が歪む。イアマの瞳が激しく光り、真っ赤に明滅しはじめた。
「くっ……!」
鋭い眼差しが、言葉が、イアマの全身を焼くかのよう。ふつふつと身体の奥から湧き上がる怒りにイアマは髪の毛をかきむしった。
【悔しい! こんなのってないわ! あの子のものは全部全部奪ってやった! わたくしがあの子の分の幸せまですべてを手に入れたはずだった! それなのに、むしろわたくしのほうが奪われているじゃない! お父様も、お兄様も使用人たちも! みんなわたくしの側からいなくなった! わたくしにはもうなにも残っていない。全部オティリエのせいだわ!】
許せない。認められるはずがない。イアマはキッと顔を上げた。
「……消えなさいよ」
「え?」
「あんたなんか消えちゃえばいいのに!」
その途端、ぶわりと周りの空気が歪む。イアマの瞳が激しく光り、真っ赤に明滅しはじめた。