魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「わたくし殿下にお会いしたくて、これまでたくさんの夜会に出席してきましたの。今夜までお会いできずにおりましたが……」
「あいにく公務が忙しくてね。社交については公務を通じて行うようにしているんだ。案外いろんな情報が手に入るものだよ。君の噂もよく聞いている。とても魅力的な女性だってね」
「まあ、嬉しい! 殿下の瞳にもわたくしは魅力的に映りますか?」
「ええ、もちろん。とても魅力的に、ね」
ヴァーリックのセリフに、イアマは瞳を輝かせた。
(もしかしたら、ヴァーリック様はお姉様の噂から能力を推測したのかしら? だから魅了を回避できたの? だけど今は? 魅了が効いてきているのかしら?)
知りたいことはたくさんあるが、ヴァーリックの心の声は聞こえてこない。オティリエはヤキモキしながら二人のやり取りを見守り続ける。
「実はここ最近、夜会の場で貴族たちの婚約破棄が相次いでいてね……。しかも、原因はいつも同じ。男性側に存在するんだ。『別の女性に魅了されてしまった。君とは結婚できない』とわざわざ他の参加者たちの前で宣言をするんだそうだよ」
「まあ、そんなことが……! 婚約を破棄されたご令嬢は気の毒ね」
イアマはそう返事をしつつ、心のなかで小さく笑う。
「あいにく公務が忙しくてね。社交については公務を通じて行うようにしているんだ。案外いろんな情報が手に入るものだよ。君の噂もよく聞いている。とても魅力的な女性だってね」
「まあ、嬉しい! 殿下の瞳にもわたくしは魅力的に映りますか?」
「ええ、もちろん。とても魅力的に、ね」
ヴァーリックのセリフに、イアマは瞳を輝かせた。
(もしかしたら、ヴァーリック様はお姉様の噂から能力を推測したのかしら? だから魅了を回避できたの? だけど今は? 魅了が効いてきているのかしら?)
知りたいことはたくさんあるが、ヴァーリックの心の声は聞こえてこない。オティリエはヤキモキしながら二人のやり取りを見守り続ける。
「実はここ最近、夜会の場で貴族たちの婚約破棄が相次いでいてね……。しかも、原因はいつも同じ。男性側に存在するんだ。『別の女性に魅了されてしまった。君とは結婚できない』とわざわざ他の参加者たちの前で宣言をするんだそうだよ」
「まあ、そんなことが……! 婚約を破棄されたご令嬢は気の毒ね」
イアマはそう返事をしつつ、心のなかで小さく笑う。