魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「アインホルン侯爵に伝えてくれ。イアマ嬢は気分が優れずお帰りになる。心配だから一緒に付き添うように、と。僕からの命令だと添えるように」
「ハッ」
使用人がイアマを侯爵のもとに連れて行こうとする。しかし、イアマは首を横に振りながら、使用人を強く押しのけた。
「ちょっと待って! わたくし平気ですわ。少しめまいがしただけで……」
「息が止まりそうだと言っていただろう? めまいだからと侮ってはいけないよ? それに、流行り病だったら大変だ。他の人に迷惑がかかってしまうだろう?」
「そ、れは……さっきのはただの言葉の綾で…………本当に具合が悪いわけでは」
イアマの頬が恥辱で紅く染まっていく。
「それにね――」
ヴァーリックはニコリと微笑みつつ、オティリエにそっと目配せをした。
「僕たち王族が出席している夜会で婚約破棄なんて起こったらたまらないからね」
「そんな……! あれはわたくしのせいでは――」
「別に僕は『君のせい』とは言っていないよ。ただ、相次いで起こった婚約破棄の現場にイアマ嬢が毎回いた。婚約破棄を宣言した貴族たちが魅了された女性として名前があがったのも君だった。だから、君がこのまま夜会に出席し続けるのは好ましくないと言っているだけなんだ」
「なっ……!」
【なによそれ! 結局わたくしが悪いって言いたいんじゃない! こんな……こんな屈辱的なことってないわ!
その途端、憤怒に満ちたイアマの絶叫が聞こえてくる。オティリエはヒッと大きく息を呑んだ。
「ハッ」
使用人がイアマを侯爵のもとに連れて行こうとする。しかし、イアマは首を横に振りながら、使用人を強く押しのけた。
「ちょっと待って! わたくし平気ですわ。少しめまいがしただけで……」
「息が止まりそうだと言っていただろう? めまいだからと侮ってはいけないよ? それに、流行り病だったら大変だ。他の人に迷惑がかかってしまうだろう?」
「そ、れは……さっきのはただの言葉の綾で…………本当に具合が悪いわけでは」
イアマの頬が恥辱で紅く染まっていく。
「それにね――」
ヴァーリックはニコリと微笑みつつ、オティリエにそっと目配せをした。
「僕たち王族が出席している夜会で婚約破棄なんて起こったらたまらないからね」
「そんな……! あれはわたくしのせいでは――」
「別に僕は『君のせい』とは言っていないよ。ただ、相次いで起こった婚約破棄の現場にイアマ嬢が毎回いた。婚約破棄を宣言した貴族たちが魅了された女性として名前があがったのも君だった。だから、君がこのまま夜会に出席し続けるのは好ましくないと言っているだけなんだ」
「なっ……!」
【なによそれ! 結局わたくしが悪いって言いたいんじゃない! こんな……こんな屈辱的なことってないわ!
その途端、憤怒に満ちたイアマの絶叫が聞こえてくる。オティリエはヒッと大きく息を呑んだ。