魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「さっきの話の続きだけど、僕はアインホルン家の能力に限らず、あらゆる能力を弾くことができるんだ。だからイアマ嬢がどれほど僕を魅了しようとしても効果はない。けれど、無差別に能力を弾いてしまうわけでもない。僕自身が望むなら、能力の影響を受け入れることができるし、自分の能力を他人に分け与えることだってできる。オティリエ嬢に心のなかで話しかけたり、君にイアマ嬢の心の声が聞こえないようにしたときみたいにね」
ヴァーリックの説明を聞きながら、オティリエは感嘆のため息をつく。
「すごいです……! 私は自分で能力の調整が全くできなくて。その場にいる人の心の声が全部聞こえてきてしまうから……」
「能力は鍛え方次第。これからいくらでも伸びると思うよ。オティリエ嬢の能力は特に、人と対話を重ねて鍛えていくしかない能力だからね。育ってきた環境のせいで、今は心の声を一方的に聞くことしかできないけれど、おそらくは心の声を『聞かない』という選択もできるし、君のほうから話しかけることだってできる。無限の可能性を持つ能力だと僕は思うな」
「無限の可能性、ですか……」
自分の能力に伸び代があるのは素直に嬉しい。けれど、あの屋敷のなかで他人と会話をするのはおそろしく勇気のいることだ。能力を鍛える前にオティリエ自身がダウンしてしまうだろう。そう考えると気が進まない。想像するだけで胃がキリリと痛んだ。
ヴァーリックの説明を聞きながら、オティリエは感嘆のため息をつく。
「すごいです……! 私は自分で能力の調整が全くできなくて。その場にいる人の心の声が全部聞こえてきてしまうから……」
「能力は鍛え方次第。これからいくらでも伸びると思うよ。オティリエ嬢の能力は特に、人と対話を重ねて鍛えていくしかない能力だからね。育ってきた環境のせいで、今は心の声を一方的に聞くことしかできないけれど、おそらくは心の声を『聞かない』という選択もできるし、君のほうから話しかけることだってできる。無限の可能性を持つ能力だと僕は思うな」
「無限の可能性、ですか……」
自分の能力に伸び代があるのは素直に嬉しい。けれど、あの屋敷のなかで他人と会話をするのはおそろしく勇気のいることだ。能力を鍛える前にオティリエ自身がダウンしてしまうだろう。そう考えると気が進まない。想像するだけで胃がキリリと痛んだ。