魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
『それじゃあ、また』
別れ際、ヴァーリックはオティリエにそう声をかけてくれた。
『さよなら』ではなく、次の約束がある。彼にまた会えると思うと、オティリエは元気が湧いてくる。怖くとも立ち向かおうと思えるのだ。
(大丈夫。私は負けない)
いつかまた、胸を張ってヴァーリックに再会できるように。彼に本当の意味で認めてもらえる自分になりたい。彼の役に立ちたい。そのためには、逃げずに自分の能力を磨いていく必要がある。
夜会が終わったため、侍女たちはもう彼女の部屋を訪れないだろう。着替えも、食事の準備も、これからは全部自分でしなければならない。
(よし。まずはきちんと食事をとらなきゃ。それから侍女たちと頑張って会話をする。大丈夫……ちゃんとやれるはず)
身支度を終え、オティリエが厨房に降りようと立ち上がったときだった。
「――まさか帰ってくるとは思わなかったわ。あんたって案外度胸があったのね」
バン! と大きな音を立てて扉が開き、イアマが部屋に入ってくる。オティリエは一瞬だけ怖気付いたものの、すぐにイアマに向き直った。
別れ際、ヴァーリックはオティリエにそう声をかけてくれた。
『さよなら』ではなく、次の約束がある。彼にまた会えると思うと、オティリエは元気が湧いてくる。怖くとも立ち向かおうと思えるのだ。
(大丈夫。私は負けない)
いつかまた、胸を張ってヴァーリックに再会できるように。彼に本当の意味で認めてもらえる自分になりたい。彼の役に立ちたい。そのためには、逃げずに自分の能力を磨いていく必要がある。
夜会が終わったため、侍女たちはもう彼女の部屋を訪れないだろう。着替えも、食事の準備も、これからは全部自分でしなければならない。
(よし。まずはきちんと食事をとらなきゃ。それから侍女たちと頑張って会話をする。大丈夫……ちゃんとやれるはず)
身支度を終え、オティリエが厨房に降りようと立ち上がったときだった。
「――まさか帰ってくるとは思わなかったわ。あんたって案外度胸があったのね」
バン! と大きな音を立てて扉が開き、イアマが部屋に入ってくる。オティリエは一瞬だけ怖気付いたものの、すぐにイアマに向き直った。