魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「けれど困ったわねぇ。オティリエったらあまりにもできが悪く怠け者だったせいでチューターたちが逃げてしまったから、ろくな教育を受けていないでしょう? 礼儀作法もなっていなければ見た目も悪いし、みっともないと他の貴族からバカにされてしまうんじゃない?」 


 イアマはそう言うが、チューターがいなくなったのは決してオティリエのできが悪かったからではない。他でもないイアマが彼らを魅了し、言いなりにしてしまったせいだ。オティリエはそんなことを知る由もないが……。


「というか、なんで妃殿下がオティリエなんかに会いたがるわけ? ……わたくしじゃなくて? 意味がわからないわ」

「おまえの意見はもっともだし、私にも妃殿下がオティリエに会いたがる理由はわからない。だが、申し出を断ることはできん。オティリエには明日から講師をつける。見た目もある程度整えてやらねばならんだろう」

「えぇ? お父様、だけどそれでは……」

「なに、オティリエのことはおまえの引き立て役だと思えばいい。今回の夜会には王太子殿下も参加なさるそうだからうってつけだろう?」

「まあ、ヴァーリック様が!?」


 イアマはそう言うとポッと頬を赤らめる。

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