魅了持ちの姉にすべてを奪われた心読み令嬢は、この度王太子の補佐官に選ばれました!
「あの、エアニーさんは私の能力についてご存知なんでしょうか?」
「はい。ヴァーリック様から聞き及んでおります。他人の心の声が聞こえるそうで」
エアニーがこたえる。まったく動揺している感じがない。つまり彼は己の心の声を聞かれても構わないと思っているのだろう。
「そうそう。僕さ、エアニーが普段なにを考えているかすごく気になるんだよね。必要最低限のことしかしゃべらないし。……オティリエ、あとでこっそり教えてくれる?」
「え? えっと……」
これまでのやりとりからして、エアニーがヴァーリックを慕っているのはたしかだ。しかし、その想いを直接言葉で伝えている感じは見受けられない。もしもエアニーの心の声を知ったら、ヴァーリックは喜ぶだろうが……。
「ヴァーリック様が気になさるようなことはなにも。考えたことはすべて口に出すように心がけておりますので」
エアニーがさり気なく口を挟み、チラリとオティリエのほうを見た。
「まあ、そうだよね。エアニーだもんね。オティリエの件を伝えたときも『ぜひとも欲しい能力だ』って言ってくれたぐらいだし、すごく正直で誠実な男性だから。それに、エアニーには他の人だったら言いづらいだろうなってこともズバズバ指摘してもらえて、僕は助かってるよ」
ヴァーリックが微笑む。すると、今にも舞い上がりそうなエアニーの感情がオティリエに流れ込んできた。
【ヴァーリック様がぼくを! このぼくを! 褒めてくださった!】
涼し気な表情からは想像もできないような狂喜乱舞っぷり。
彼はひととおり感動しきったあと、オティリエのほうへ向き直った。
「はい。ヴァーリック様から聞き及んでおります。他人の心の声が聞こえるそうで」
エアニーがこたえる。まったく動揺している感じがない。つまり彼は己の心の声を聞かれても構わないと思っているのだろう。
「そうそう。僕さ、エアニーが普段なにを考えているかすごく気になるんだよね。必要最低限のことしかしゃべらないし。……オティリエ、あとでこっそり教えてくれる?」
「え? えっと……」
これまでのやりとりからして、エアニーがヴァーリックを慕っているのはたしかだ。しかし、その想いを直接言葉で伝えている感じは見受けられない。もしもエアニーの心の声を知ったら、ヴァーリックは喜ぶだろうが……。
「ヴァーリック様が気になさるようなことはなにも。考えたことはすべて口に出すように心がけておりますので」
エアニーがさり気なく口を挟み、チラリとオティリエのほうを見た。
「まあ、そうだよね。エアニーだもんね。オティリエの件を伝えたときも『ぜひとも欲しい能力だ』って言ってくれたぐらいだし、すごく正直で誠実な男性だから。それに、エアニーには他の人だったら言いづらいだろうなってこともズバズバ指摘してもらえて、僕は助かってるよ」
ヴァーリックが微笑む。すると、今にも舞い上がりそうなエアニーの感情がオティリエに流れ込んできた。
【ヴァーリック様がぼくを! このぼくを! 褒めてくださった!】
涼し気な表情からは想像もできないような狂喜乱舞っぷり。
彼はひととおり感動しきったあと、オティリエのほうへ向き直った。