私の告白リベンジ!
名前を口に出そうとして気づいたその事実に、慌てて口をつぐむ。

あの時、告白してくれた平井くんと北島くんのためにも柊斗に教えないほうがよさそうだ。

「…チッ。まぁ、いいや。でも、そっか。蘭はオレのこと好きでいてくれたんだな」

舌打ちしつつも、嬉しそうに目を細める柊斗にだんだんと鼓動が早くなっていく。

私たち両思いだったんだね。

そのことが嬉しくてついつい緩んでしまう口元。

けど…。

「蘭、オレさ。夏休み明けに転校するんだ。色々、オレたちが過去を変えたことで少しずつ未来も変わってるのかもしれない」

その言葉で一気に心臓が冷えていくのを感じた。

以前、和歌ちゃんとも話していた『時間が早まっているかもしれない』という仮説はやっぱり正しかったのだと実感する。

「…そうなんだ。どこに行くの?」

「大阪。父さんの仕事の関係で…」

大阪かぁ…。飛行機で1時間くらいでつくのかな?でも、遠いな。

気軽に行ける距離ではないことに1人肩を落とす私に向かって。

「でも、オレ…。親に頼んで高校はこっちに戻ってくる。だから、それまで待っててくれるか?」

突然の柊斗の言葉に私は小さく目を見開く。

「戻ってくるの?」

「当たり前。モテる蘭を1人にしておくの心配だし?あと、これ…」

クスッと口角を上げる柊斗が手渡してきたのは、柊斗が借り物競走の時に手にしていたカードだった。

「これって借り物競走の時の…?見ていいの?」

コクリと頷く柊斗を確認して、ゆっくりとカードを開いてみる。

「今日、蘭に気持ち伝えられてオレの中学時代の後悔はなくなったし…。もしかしたら元の時代に戻る日も近いかもしれない。でも、これ見たら今日のこと思い出せるだろ?」

ぶっきらぼうにそう言う柊斗の姿に私は思わず笑みがこぼれていた。

「ふふっ。私も好きだよ」

「知ってる…」

最後にそう言うと、柊斗は私の身体をギュッと優しく抱きしめた。まるで、壊れ物でも扱うような優しい力に、心地よさを覚える。

ドキドキと聞こえる心音。

それが柊斗のものだと気づいたのと。

チュッと、私と柊斗の唇が重なったのはほぼ同時だった――。
< 116 / 119 >

この作品をシェア

pagetop