私の告白リベンジ!
「おはよ、咲倉」

「あ、嘉瀬くん。おはよう…」

私の背後からやってきたのは、柊斗だった。

若干、疲れたような表情の彼に私は心配になる。

…体育祭実行委員忙しいんだろなぁ。


あの水族館デートから、はや数週間が経とうとしていた――。

体育祭が近づくにつれ、忙しくなっていく実行委員の仕事のため、結局、柊斗とはゆっくり話す時間もなくて。

それに私自身も、和歌ちゃんに宣言した通り。

「告白は体育祭が終わってから」

と決めていたし、なるべく忙しい柊斗の手を煩わせないようにあえて、その話題に触れないでいた。

ちなみに葉月ちゃんはというと。

水族館で起きたことは、まるで何事もなかったかのように「蘭ちゃん、おはよう〜」と教室で会った時は変わらない態度で接してくれて。

正直、何か言われるんじゃないかとヒヤヒヤして身構えていたぶん、拍子抜けしたものだ。

「嘉瀬くん、大丈夫?少し疲れてるみたいだけど…。体育祭実行委員って、色々競技の進行とかもしないとだから大変だし…」

「まぁな…。でも、今日でそれも最後だし。あと1日くらい頑張るよ。じゃ、実行委員はテント集合だから」

「うん。頑張って。でも、テント集合なら直接言ったほうが早かったのに。なんか忘れ物?それとも、荷物置きに来たとか?」

「いや、大丈夫。オレの用事は済んだし。じゃあ、またあとでな」

…??

機嫌よく去っていく柊斗に私は小さく首を傾げる。

結局、なんの用事だったんだろう?

私が、1人で頭にハテナマークを浮かべていると。

「咲倉ちゃん、おはよう。つか、今、柊斗来てた?実行委員は忙しいから午前中は、応援席の方に来れないって橋口先生言ってのにな〜。…あ!そうか。咲倉ちゃんの顔見に来たのか」

私にそう声をかけてくれたのは、さっきまで橋口先生と熱く語り合っていた岡くんで。

ニヤッと不敵に微笑む彼に私はパチパチと目をしばたたかせる。
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