私の告白リベンジ!
そんなことを考え、私が競技を眺めていると、1組目の選手がようやく借り物の書かれたカードの前にたどり着く。

そして、次々とカードを拾ったほぼ全員が…。

ピタリと足を止めてしまった。

「ねぇ、なんかみんな、困ってそうじゃない?」

「あのカード、何が書かれてるんだろうね」

ヒソヒソと話しているクラスメイトの声を尻目に、私はフッと内心小さくほくそ笑む。

実は、うちの中学の借り物競走って、結構ハードなお題出すんだよね。

中学1年生の時、それを知らずにラクそうだという理由だけで出場した私はかなり後悔したことを思い出していた。

ちなみに当時私が引いたお題は、【3組の出席番号15番の子】というもの。

せめて同じクラスなら誰かわかるけど、違うクラスのしかも15番なんてピンポイントな出席番号の生徒を覚えてるはずもなく、本当に困ったのだ。

まぁ、観戦してる方はお題も珍しいから、楽しい競技なんだけどね。

その時。

1組目の赤ハチマキを巻いた男子生徒がオドオドしながら白組の応援席までやって来る。

「すみません…。えーっと、お題が1組の中で小学校の頃、ピアノを習っていた子…なんですけど。誰かいませんか〜」

頑張って声を張り上げる男子生徒に、応援席にいるみんなはざわついた。

絶対、みんな、その借り物なんなのだろうって思ってるんだろうな…。

ゴメンね。申し訳ないけど、私、ピアノ習ってなかったので協力してあげられないんだよ。

シンと静まり返る白組の応援席。

みんながどうしたものかと、目配せをしているなか。

「…あ!私、ピアノ習ってたよ」

と、赤組の男子を不憫に思った1人の女子生徒が、手をあげてくれてようやくその場は落ち着きを見せた。
< 91 / 119 >

この作品をシェア

pagetop