夢の中でもいいからあなたに会いたい

ホテル出て南国の日差しを浴びながらフクギ並木に向かって歩いていくと
道の真ん中に猫がたたずんでいた。
近寄っても逃げない、そっとノドをさすると
ゴロゴロとノドを鳴らして目を細める顔が可愛い。
「へ~車も人も居ないかから、警戒心ないんだ
 祈莉も撫でたら?」
「いいわ、動物は苦手なの」
「以外、苦手なのを初めて知ったよ」
めったに見ない祈莉の困り顔に
「クスッ」と笑ってしまう。


小道の奥から声が聞こえてくる。
「ねぇ~良子ちゃん、喉が渇いたからさっきの自動販売機でジュース買って」
「え、通り過ぎたのに戻るの?」
「いいから、暑くてしょうがないから早く、私達、友達でしょう」
「私の分もお願い」
「適当に4本、買ってきて」
「あの~お金は?」
「後で払うから」
クラスメイトで太っちょ根暗の島袋遊花が召使い状態になっている。

「あ!」
一瞬、良子と目が合う。
素早く顔を背ける
「痛っ」頭に激痛が走る。
「どうしたの?」
祈莉がのぞき込む。
「いや、なんでも無い」
祈莉の腕を引っ張りその場を足早に離れる。

良子は逃げるように去って行く二人を見つめ、
同じクラスの月影さんと妃理華さんが助けてくれるかと
期待したけど。
「行っちゃった」
私はクラスの皆から嫌われてるんだ!
(もうどうでもいい)
落ち込む良子に容赦なく
「もう早く、お願いね!」
良子は虚しく頷き重い足取りで自動販売機へ歩いていく。






















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