kissしてサイキック‼~無能力者のハズの私が生徒会に溺愛される⁉~
10:まい先輩の秘密
先輩と中心街をあちこち回って、気づけばすっかり夕方になっていた。先輩は女子寮前まで送ってくれた。
「じゃあ、今日はいっぱい動いたからゆっくり休んでね」
「はい! 今日は本当にありがとうございました! あと……クラスメイトに話しかけられた時、ご迷惑をおかけしました」
「ううん。茉莉のカッコいいところ見れたから僕は大満足だよ」
「私のカッコいいところですか?」
まい先輩はウインクをする。
「うん! 自分の事を馬鹿にされたのに、学校を馬鹿にされたことに怒ったり、僕のタピオカの心配したり……なんか、茉莉って本当に優しい子なんだなって思った」
「そ、そんなことは、」
「でもさ、僕として自分の事ももっと大切にしてほしいし、自信を持ってほしいかな。桜は能力なんかよりも大切な──素敵なものを持っているんだからさ」
まい先輩の言葉が嬉しくて、私も何かを言わずにはいられなくなった。
「わ、私だって、今日は先輩のカッコいいところ、たくさん知りました」
「僕の?」
「私のために怒ってくれた先輩は、すごくかっこよかったです。それこそ、今日観た映画のヒーローみたいに!!」
「っ!」
まい先輩は珍しく顔を真っ赤にした。そしてきょろきょろ目を泳がせた後──頭を掻きながらはにかむ。
「なにそれ。すっげー照れる」
「先輩ってたまに口調荒くなりますよね。あの時もそうだったし。それがまたカッコいいっていうか……。もし先輩が男の子だったら私、絶対好きになってますよ」
「! ……ふーん?」
まい先輩はニヤニヤと怪しい笑みを浮かべた。私が首を傾げると──まい先輩は私を壁に押し付ける。
これは──少女漫画でよく見るあの、壁ドン!?
「せ、先輩!?」
「茉莉、今の僕をよく見て。なんかおかしくない?」
「え……?」
……そうだ、なんかおかしい。何故今私はまい先輩に見下ろされているんだろう? 先輩の身長は私と同じくらいのはずなのに! 今の先輩は──軽く180㎝は越えてるんじゃないだろうか!? それにいつも強く押し当てられている胸が──ない!!
「せ、先輩が貧乳に!!!!」
「ツッコむところそこ!? それに、そんなの元からないんだってば!! 僕は男だよ?」
──え?
私はなんとも間抜けな声を出してしまった。まい先輩はそれはもう楽しそうだ。
「大体普通気づくでしょ? 違和感覚えなかったの?」
「そ、そういわれれば……学園長が先輩を君づけだったり、色々伏線はあったのかも……」
「そ。僕の能力は好きな姿に変化できる能力《変化》! この姿だって本当の姿じゃないけど」
「え? じゃあなんで先輩はその姿に? 先輩の本当の姿は……?」
「……僕、本当の自分の姿、嫌いなんだよね。茉莉だって、本当の僕の姿見たら、絶対──」
まい先輩はそう俯くなり、いつもの可愛い先輩の姿に戻っていった。
「これは僕の理想の姿ってところかな。茉莉だって、理想像があるでしょ?」
「そ、それはあるかもしれませんが……」
「で、どうなの?」
「え?」
「僕、男だけど、僕の事──好きになれそう?」
まい先輩は悪戯っぽく笑った。私は顔が熱くなる。
「いや、今は、なんかすごく驚きが大きくて、考えられません」
「えー? 好きになってくれるって言ったのにー?」
まい先輩は私に顔を近づけると、にっこり微笑む。
今まではなんとも思わなかったけれど、なんか、凄く恥ずかしい!
「大体の人は僕の事、女だって思うよ。普段の体が女だからね。僕は別に気にしないからわざわざ訂正したりしないんだけど──茉莉には、僕が男だって知ってほしかった。だから、僕から男だって教えたのは茉莉だけ、かな」
まい先輩はそれだけ言うと、そっと顔を離し、くるりと踵を翻す。
「じゃ、また明日ね!」
「…………!」
私は何も言い返せなかった。心臓が異常なほど踊り狂っている。
い、いやいやいやいやいや! 今まで同性だと思っていた先輩が異性で、容姿は能力で変えることができて──なんかもうごちゃごちゃだ!
でも先輩は、能力関係なく、ありのままの私を見つめてくれる人だというのは今日一日でよくわかった。これからの高校生活に不安はあるものの、まい先輩のおかげでとっても楽しい日々を送れそうだ。
──『僕、本当の自分の姿、嫌いなんだよね。』
……そういえば先輩、そんなことを言っていたような。コンプレックスがあるのかな。それならあんまり詳しく聞くことじゃないけれど、なんとなく、本当になんとなーく引っかかるような……。
「じゃあ、今日はいっぱい動いたからゆっくり休んでね」
「はい! 今日は本当にありがとうございました! あと……クラスメイトに話しかけられた時、ご迷惑をおかけしました」
「ううん。茉莉のカッコいいところ見れたから僕は大満足だよ」
「私のカッコいいところですか?」
まい先輩はウインクをする。
「うん! 自分の事を馬鹿にされたのに、学校を馬鹿にされたことに怒ったり、僕のタピオカの心配したり……なんか、茉莉って本当に優しい子なんだなって思った」
「そ、そんなことは、」
「でもさ、僕として自分の事ももっと大切にしてほしいし、自信を持ってほしいかな。桜は能力なんかよりも大切な──素敵なものを持っているんだからさ」
まい先輩の言葉が嬉しくて、私も何かを言わずにはいられなくなった。
「わ、私だって、今日は先輩のカッコいいところ、たくさん知りました」
「僕の?」
「私のために怒ってくれた先輩は、すごくかっこよかったです。それこそ、今日観た映画のヒーローみたいに!!」
「っ!」
まい先輩は珍しく顔を真っ赤にした。そしてきょろきょろ目を泳がせた後──頭を掻きながらはにかむ。
「なにそれ。すっげー照れる」
「先輩ってたまに口調荒くなりますよね。あの時もそうだったし。それがまたカッコいいっていうか……。もし先輩が男の子だったら私、絶対好きになってますよ」
「! ……ふーん?」
まい先輩はニヤニヤと怪しい笑みを浮かべた。私が首を傾げると──まい先輩は私を壁に押し付ける。
これは──少女漫画でよく見るあの、壁ドン!?
「せ、先輩!?」
「茉莉、今の僕をよく見て。なんかおかしくない?」
「え……?」
……そうだ、なんかおかしい。何故今私はまい先輩に見下ろされているんだろう? 先輩の身長は私と同じくらいのはずなのに! 今の先輩は──軽く180㎝は越えてるんじゃないだろうか!? それにいつも強く押し当てられている胸が──ない!!
「せ、先輩が貧乳に!!!!」
「ツッコむところそこ!? それに、そんなの元からないんだってば!! 僕は男だよ?」
──え?
私はなんとも間抜けな声を出してしまった。まい先輩はそれはもう楽しそうだ。
「大体普通気づくでしょ? 違和感覚えなかったの?」
「そ、そういわれれば……学園長が先輩を君づけだったり、色々伏線はあったのかも……」
「そ。僕の能力は好きな姿に変化できる能力《変化》! この姿だって本当の姿じゃないけど」
「え? じゃあなんで先輩はその姿に? 先輩の本当の姿は……?」
「……僕、本当の自分の姿、嫌いなんだよね。茉莉だって、本当の僕の姿見たら、絶対──」
まい先輩はそう俯くなり、いつもの可愛い先輩の姿に戻っていった。
「これは僕の理想の姿ってところかな。茉莉だって、理想像があるでしょ?」
「そ、それはあるかもしれませんが……」
「で、どうなの?」
「え?」
「僕、男だけど、僕の事──好きになれそう?」
まい先輩は悪戯っぽく笑った。私は顔が熱くなる。
「いや、今は、なんかすごく驚きが大きくて、考えられません」
「えー? 好きになってくれるって言ったのにー?」
まい先輩は私に顔を近づけると、にっこり微笑む。
今まではなんとも思わなかったけれど、なんか、凄く恥ずかしい!
「大体の人は僕の事、女だって思うよ。普段の体が女だからね。僕は別に気にしないからわざわざ訂正したりしないんだけど──茉莉には、僕が男だって知ってほしかった。だから、僕から男だって教えたのは茉莉だけ、かな」
まい先輩はそれだけ言うと、そっと顔を離し、くるりと踵を翻す。
「じゃ、また明日ね!」
「…………!」
私は何も言い返せなかった。心臓が異常なほど踊り狂っている。
い、いやいやいやいやいや! 今まで同性だと思っていた先輩が異性で、容姿は能力で変えることができて──なんかもうごちゃごちゃだ!
でも先輩は、能力関係なく、ありのままの私を見つめてくれる人だというのは今日一日でよくわかった。これからの高校生活に不安はあるものの、まい先輩のおかげでとっても楽しい日々を送れそうだ。
──『僕、本当の自分の姿、嫌いなんだよね。』
……そういえば先輩、そんなことを言っていたような。コンプレックスがあるのかな。それならあんまり詳しく聞くことじゃないけれど、なんとなく、本当になんとなーく引っかかるような……。