kissしてサイキック‼~無能力者のハズの私が生徒会に溺愛される⁉~
13:ありのままの貴方で
その日の夜、シャワーを浴びて、ベッドに沈む。溜息を吐くとよりその柔らかさに身が埋まった。太ももを撫でられた感触が未だに残っていて気持ち悪い。目を瞑ると思い出してしまうので、今夜は眠れないだろう。
でも、それとは別にモヤモヤしているのは──昼のまい先輩の顔だ。
先輩、何か悩みでもあるんだろうか。多分、昼に見せてくれた大柄の人が先輩の本当の姿、だよね? 私のせい、だよね。先輩は私の為に怒ってくれたんだし……。
そんな事を思ってさらにモヤモヤしていると、ドアがとんとんと小さく叩かれた。見れば小さなこうもりが窓にぶつかってきているではないか。私が驚いて固まっていると、こうもりはバルコニーに着地し、じっと私を見ている。
そこで私はピンときた。
「まさか……まい先輩!?」
私は急いで窓を開ける。するとこうもりはその隙間から入ってくるなり、私の布団に潜り込んだ。布団はみるみる膨らんでいき、ひょっこりといつもの綺麗なまい先輩が恥ずかしそうに顔を出す。
「ごめん! この能力、服までは変化できないからさ。布団借りるよ?」
「ま、まい先輩! 抜け出してきたんですか!? って、えぇ、裸っ!」
「ど、どうしても茉莉に会いたくて。というか、言いたい事、あって……」
まい先輩は布団を身体に巻き付けて、私に頭を下げる。
「ごめん! 昼、茉莉が傷ついてるのに、怒りに任せて我失っちゃってさ。それに──見苦しい姿も、見せちゃって。恐かったでしょ? あれが僕の本当の姿。あんな無駄にでっかくて筋肉モリモリで……」
「そんなことない!!!!!!」
私はつい声を上げてしまう。ほぼ無意識だった。
でも、それは本心からだこそ、だ。
だって──だって、私の為に嫌いな自分を晒してしまう程、我を忘れて怒ってくれた人を怖いなんて思うはずがない!!
私はゆっくり言葉を選んでいく。
「まい先輩。私は……むしろ嬉しかったんですよ」
「え?」
「だって、私の為に怒ってくれたじゃないですか。謝るのは私の方です。私のせいで、映画も観れなかったし、先輩自身がバレたくなかった姿も見てしまったし……すみませんでした」
頭を下げる。しばらくして顔を上げると、まい先輩はポカンとしていた。
「ぼ、僕の姿見て──気持ち悪いとか思わないの?」
「え? べ、別にそんな事思うはずないです! む、むしろ、なんていうか……カッコいいとさえ、思いましたよ」
素直な気持ちを伝えた。
するとまい先輩の身体が大きくなっていく。
──本当の、まい先輩の姿になった。
大柄の男の人が私を見て、不安そうに上目遣いをするその光景はなんとも奇妙だ。
でも、嫌じゃないし、気持ち悪いと思うなんてもってのほか。
「ほら、十分素敵な姿じゃないですか。私、今の先輩大好きです。逞しくて、カッコいいです!」
「う、嘘だぁ……」
「嘘じゃないです。なんなら、今度から中心街に行くときはその姿でどうですか?」
「えっ!!?」
まい先輩が飛び跳ねた。大きな身体が跳ねたので、ぎしりとベッドが軋む。
「…………っ」
「でも先輩が嫌ならどちらでもいいですよ。まい先輩である事は変わらないんですから」
「茉莉、僕……」
まい先輩はそっと布団に顔を埋めると、震える声を漏らした。
「も、もう少し、気持ちの整理がついたら……いつか、ね」
「! ……はい。待ってますよ、まい先輩」
先輩は恥ずかしそうに微笑んだ後、再度こうもりに変化し、窓の隙間から素早く去っていった。
窓を見れば、もう既にこうもりは闇に紛れて見えない。
その後、私は流石にベッドに潜って眠った。痴漢男のことはチラリと脳裏に浮かんだものの、まい先輩のことを考えると自然によく眠れた。きっと私の代わりにまい先輩が真剣に怒ってくれたからだろうな。
なんだか、まい先輩との関係が一歩前進したような気がする。
この調子で未来空先輩や篠原先輩とも仲良くなれたらいいな。明日、頑張って話しかけてもいいかもしれない。
でも、それとは別にモヤモヤしているのは──昼のまい先輩の顔だ。
先輩、何か悩みでもあるんだろうか。多分、昼に見せてくれた大柄の人が先輩の本当の姿、だよね? 私のせい、だよね。先輩は私の為に怒ってくれたんだし……。
そんな事を思ってさらにモヤモヤしていると、ドアがとんとんと小さく叩かれた。見れば小さなこうもりが窓にぶつかってきているではないか。私が驚いて固まっていると、こうもりはバルコニーに着地し、じっと私を見ている。
そこで私はピンときた。
「まさか……まい先輩!?」
私は急いで窓を開ける。するとこうもりはその隙間から入ってくるなり、私の布団に潜り込んだ。布団はみるみる膨らんでいき、ひょっこりといつもの綺麗なまい先輩が恥ずかしそうに顔を出す。
「ごめん! この能力、服までは変化できないからさ。布団借りるよ?」
「ま、まい先輩! 抜け出してきたんですか!? って、えぇ、裸っ!」
「ど、どうしても茉莉に会いたくて。というか、言いたい事、あって……」
まい先輩は布団を身体に巻き付けて、私に頭を下げる。
「ごめん! 昼、茉莉が傷ついてるのに、怒りに任せて我失っちゃってさ。それに──見苦しい姿も、見せちゃって。恐かったでしょ? あれが僕の本当の姿。あんな無駄にでっかくて筋肉モリモリで……」
「そんなことない!!!!!!」
私はつい声を上げてしまう。ほぼ無意識だった。
でも、それは本心からだこそ、だ。
だって──だって、私の為に嫌いな自分を晒してしまう程、我を忘れて怒ってくれた人を怖いなんて思うはずがない!!
私はゆっくり言葉を選んでいく。
「まい先輩。私は……むしろ嬉しかったんですよ」
「え?」
「だって、私の為に怒ってくれたじゃないですか。謝るのは私の方です。私のせいで、映画も観れなかったし、先輩自身がバレたくなかった姿も見てしまったし……すみませんでした」
頭を下げる。しばらくして顔を上げると、まい先輩はポカンとしていた。
「ぼ、僕の姿見て──気持ち悪いとか思わないの?」
「え? べ、別にそんな事思うはずないです! む、むしろ、なんていうか……カッコいいとさえ、思いましたよ」
素直な気持ちを伝えた。
するとまい先輩の身体が大きくなっていく。
──本当の、まい先輩の姿になった。
大柄の男の人が私を見て、不安そうに上目遣いをするその光景はなんとも奇妙だ。
でも、嫌じゃないし、気持ち悪いと思うなんてもってのほか。
「ほら、十分素敵な姿じゃないですか。私、今の先輩大好きです。逞しくて、カッコいいです!」
「う、嘘だぁ……」
「嘘じゃないです。なんなら、今度から中心街に行くときはその姿でどうですか?」
「えっ!!?」
まい先輩が飛び跳ねた。大きな身体が跳ねたので、ぎしりとベッドが軋む。
「…………っ」
「でも先輩が嫌ならどちらでもいいですよ。まい先輩である事は変わらないんですから」
「茉莉、僕……」
まい先輩はそっと布団に顔を埋めると、震える声を漏らした。
「も、もう少し、気持ちの整理がついたら……いつか、ね」
「! ……はい。待ってますよ、まい先輩」
先輩は恥ずかしそうに微笑んだ後、再度こうもりに変化し、窓の隙間から素早く去っていった。
窓を見れば、もう既にこうもりは闇に紛れて見えない。
その後、私は流石にベッドに潜って眠った。痴漢男のことはチラリと脳裏に浮かんだものの、まい先輩のことを考えると自然によく眠れた。きっと私の代わりにまい先輩が真剣に怒ってくれたからだろうな。
なんだか、まい先輩との関係が一歩前進したような気がする。
この調子で未来空先輩や篠原先輩とも仲良くなれたらいいな。明日、頑張って話しかけてもいいかもしれない。