kissしてサイキック‼~無能力者のハズの私が生徒会に溺愛される⁉~
篠原結城編・前編
19:意外な一面
生徒会に入ってから二か月が経過。もうすっかり高校生活、というか生徒会には馴染んでいる気がする。あの気難しそうな未来空先輩も今では生徒会の活動に毎日顔を出してくれるようになったし、挨拶も返してくれるようになった。
だけど相変わらず、篠原先輩とはまだあんまり話せないままだ。
まっ、そのうちチャンスも来るだろうとなるべく気にしないようにはしていたんだけれど──思わぬところでそのチャンスが巡ってきた。
放課後。今日は生徒会活動もないため、朔が中心街にある私の好きなアイスクリーム屋さんで奢ってくれると言い出した。
こういう時、幼馴染の大切さが身に染みるなぁ。でも最近、まい先輩とスイーツばっかり食べている気がするから、ダイエットを検討しないといけない気がする。
「おら、お前の好きなバニラ。感謝しろよな!」
「分かってるって。ありがとう、神様仏様朔様~」
私がさっそく大好物のバニラアイスクリームを舐めていると、朔がベンチから立ち上がる。
「わり。ちょっと便所。絶対ここから離れるなよ! ……やっぱ心配だからお前も便所付いてこい!」
「馬鹿。なんで朔のトイレ付いて行かなきゃいけないの。中心街は人の目もあるし、大丈夫だって学園長も言ってたじゃん。早く行きなよ」
「うっ。もし何かあったら大きい声出せよ!」
朔はそう私に釘を刺すと、急いで走っていった。
全く、過保護なんだから。
それにしても、入学して二か月経つけれど、あまりにも平和すぎる。入学時はどうなることかと不安になったけれど、やっぱりこんなもんかぁ。一応、警戒はするけど。
アイスも食べ終わり、何気なく周りをキョロキョロ見回すと、私はハッとなる。
見慣れた制服に眼鏡──篠原先輩が私に気づかずにベンチの前を通り過ぎたからだ。
先輩も学校終わりに中心街来たりするのか。一体何しに?
ほんの少しの好奇心から、ついお尻を上げてしまった。
こっそり付いて行くと、先輩は灰色のブレザーを着た女の人と合流した。
あ、あれってまさか──先輩の彼女!?
女の人は頬を赤らめ、篠原先輩の腕に巻き付いた。篠原先輩も自然にそれを受け入れ、優しく微笑んでいる。
な、なんてお、お似合いな二人! 篠原先輩、凄く真面目だと思ったら、彼女はいるのか。いや、それって偏見か。でも、先輩の彼女の着ている制服……あれって確か、雷雨学園の制服?
雷雨学園って、能力至上主義の学校で、青空学園とすこぶる仲が悪いってまい先輩が言っていたっけ。
私は気付かれないようにそっと二人に近づいてみた。
携帯の画面に集中しているような振りをして、こっそり会話を聞いてみる。
「デートに誘ってくれるなんて驚いた。だって貴方、青空学園の副生徒会長でしょ? 雷雨学園の私と一緒にいていいの?」
「さぁ、どうでしょう。貴女は『ロミオとジュリエット』を知らないのですか? 俺は恋というのは、障害があると、より燃えるものだと思っています」
「あら。意外にキザなのね。真面目でつまらなさそうな人と思ったけれど」
「ほぅ。ならここで、今すぐにでも俺がつまらなくない事を証明しましょうか?」
そう言って、結城先輩は女の人の顔を上げて──
ま、まままままままさか、まさか、え、嘘……こんな人前でき、ききききキス!?!?
女の人は満更でもないようで、目を瞑る。私は唖然としながらも、目を離せなかった。
──そして、馬鹿な私は手に力を入れる事を忘れてしまったのか、携帯を地面に落としてしまう。
「あっ!」
「──っ!」
慌てて携帯を拾う。顔をあげれば、それはもう綺麗に篠原先輩と目があった。
私は頭が真っ白になって、思わず人混みに紛れて逃げてしまった。
私の馬鹿! 何やってんの!?
心臓が激しく運動しているのを感じながら、朔と別れたベンチに戻る。
朔はオロオロと私を探していたが、私を見るなり、凄い形相でこちらに来た。
……げっ! 忘れてた!
「なにやってんだ、お前は! ここから離れるなっつっただろ!!」
「い、いや、私もトイレに行こうと……」
「なら俺が帰ってきてから行けよ! 馬鹿茉莉っ! 攫われたかと思ったんだからな!」
朔は帰り道も、そうしてずっとガミガミ説教をしてきた。私はうるさい朔の説教を聞き流しながら、篠原先輩の事を考えていた。
……明日、どんな顔して先輩に合えばいいのだろうか。
だけど相変わらず、篠原先輩とはまだあんまり話せないままだ。
まっ、そのうちチャンスも来るだろうとなるべく気にしないようにはしていたんだけれど──思わぬところでそのチャンスが巡ってきた。
放課後。今日は生徒会活動もないため、朔が中心街にある私の好きなアイスクリーム屋さんで奢ってくれると言い出した。
こういう時、幼馴染の大切さが身に染みるなぁ。でも最近、まい先輩とスイーツばっかり食べている気がするから、ダイエットを検討しないといけない気がする。
「おら、お前の好きなバニラ。感謝しろよな!」
「分かってるって。ありがとう、神様仏様朔様~」
私がさっそく大好物のバニラアイスクリームを舐めていると、朔がベンチから立ち上がる。
「わり。ちょっと便所。絶対ここから離れるなよ! ……やっぱ心配だからお前も便所付いてこい!」
「馬鹿。なんで朔のトイレ付いて行かなきゃいけないの。中心街は人の目もあるし、大丈夫だって学園長も言ってたじゃん。早く行きなよ」
「うっ。もし何かあったら大きい声出せよ!」
朔はそう私に釘を刺すと、急いで走っていった。
全く、過保護なんだから。
それにしても、入学して二か月経つけれど、あまりにも平和すぎる。入学時はどうなることかと不安になったけれど、やっぱりこんなもんかぁ。一応、警戒はするけど。
アイスも食べ終わり、何気なく周りをキョロキョロ見回すと、私はハッとなる。
見慣れた制服に眼鏡──篠原先輩が私に気づかずにベンチの前を通り過ぎたからだ。
先輩も学校終わりに中心街来たりするのか。一体何しに?
ほんの少しの好奇心から、ついお尻を上げてしまった。
こっそり付いて行くと、先輩は灰色のブレザーを着た女の人と合流した。
あ、あれってまさか──先輩の彼女!?
女の人は頬を赤らめ、篠原先輩の腕に巻き付いた。篠原先輩も自然にそれを受け入れ、優しく微笑んでいる。
な、なんてお、お似合いな二人! 篠原先輩、凄く真面目だと思ったら、彼女はいるのか。いや、それって偏見か。でも、先輩の彼女の着ている制服……あれって確か、雷雨学園の制服?
雷雨学園って、能力至上主義の学校で、青空学園とすこぶる仲が悪いってまい先輩が言っていたっけ。
私は気付かれないようにそっと二人に近づいてみた。
携帯の画面に集中しているような振りをして、こっそり会話を聞いてみる。
「デートに誘ってくれるなんて驚いた。だって貴方、青空学園の副生徒会長でしょ? 雷雨学園の私と一緒にいていいの?」
「さぁ、どうでしょう。貴女は『ロミオとジュリエット』を知らないのですか? 俺は恋というのは、障害があると、より燃えるものだと思っています」
「あら。意外にキザなのね。真面目でつまらなさそうな人と思ったけれど」
「ほぅ。ならここで、今すぐにでも俺がつまらなくない事を証明しましょうか?」
そう言って、結城先輩は女の人の顔を上げて──
ま、まままままままさか、まさか、え、嘘……こんな人前でき、ききききキス!?!?
女の人は満更でもないようで、目を瞑る。私は唖然としながらも、目を離せなかった。
──そして、馬鹿な私は手に力を入れる事を忘れてしまったのか、携帯を地面に落としてしまう。
「あっ!」
「──っ!」
慌てて携帯を拾う。顔をあげれば、それはもう綺麗に篠原先輩と目があった。
私は頭が真っ白になって、思わず人混みに紛れて逃げてしまった。
私の馬鹿! 何やってんの!?
心臓が激しく運動しているのを感じながら、朔と別れたベンチに戻る。
朔はオロオロと私を探していたが、私を見るなり、凄い形相でこちらに来た。
……げっ! 忘れてた!
「なにやってんだ、お前は! ここから離れるなっつっただろ!!」
「い、いや、私もトイレに行こうと……」
「なら俺が帰ってきてから行けよ! 馬鹿茉莉っ! 攫われたかと思ったんだからな!」
朔は帰り道も、そうしてずっとガミガミ説教をしてきた。私はうるさい朔の説教を聞き流しながら、篠原先輩の事を考えていた。
……明日、どんな顔して先輩に合えばいいのだろうか。