このままずっと甘い夜を 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
「わ、わたしはこれで失礼させていただきます…!」


パーティーも終わったのであれば、これ以上ここに留まる理由がない。


「ワンピース、お貸しいただき助かりました…!必ずお返しいたしますので」

「いや、わざわざそんなことをしていただく必要はないですが…。それに、雨も降り出しましたよ?」

「…大丈夫ですっ。お気づかいありがとうございます」


早くここから逃げなくちゃ。

名取くんがわたしに気づく前に。


「今日は本当にありがとうございました…!それでは、わたしはこれで――」


と深くお辞儀をして、部屋から出ていこうとした――そのとき。


「待てよ、澪」


そんな声とともに、わたしの体が後ろから抱きしめられる。

驚いて顔を向けると、すぐそばにはわたしを見つめる名取くんの顔が。


「なんで、そんなによそよそしいんだよ。…俺のこと、忘れたか?」
< 28 / 88 >

この作品をシェア

pagetop