皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「お手伝いもできないことですし、では私はこれで失礼します」
「はい。いろいろとお気遣いをありがとうございました」


オスカーは馬に飛び乗り、侍従を従えて駆けていった。


「なんともよくわからないお人ですね」
「本当に。エリーヌ様とお話ししたい気持ちもわかりますけど」


ニコライとアガットが口々に言い合う。

(この石を美しいだなんて)

綺麗な色をした石、それも本物の魔石なら、ほかにいくらでもあるのにと不思議に思いつつ気を取りなおす。


「では再開しましょうか」
「はい」


エリーヌのひと声で作業に戻った。
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