皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
つい先日、花壇で声をかけられたときにアンリをやけに気にしている様子だったが。
向かい合って座るアガットも心配そうにアンリを見た。
「馬車でどこへ出かけるのかってね。エリーヌとシャルマン湖へ行くって言ったら眉間にざっくりと深い皺を刻んで『エリーヌ殿と?』って」
アンリがオスカーの口真似をして、同じように眉根を寄せる。
「オスカー大公も僕にヤキモチ焼いてるんじゃない?」
「ふふ、まさか」
アンリが誰も彼もひとくくりにするため思わず笑ってしまう。
「ニコライやほかの侍従も一緒だと言ったけど、ふたりきりでこっそり逢引だって言えばよかった」
「アンリ様ったら。大人をあまりからかうものではありませんよ」
「子ども扱いするなよ。エリーヌは僕と七つしか違わないだろう?」
「七つしかではなく、七つも、でございます」
エリーヌが訂正すると、アンリは不満そうに横目で見る。
向かい合って座るアガットも心配そうにアンリを見た。
「馬車でどこへ出かけるのかってね。エリーヌとシャルマン湖へ行くって言ったら眉間にざっくりと深い皺を刻んで『エリーヌ殿と?』って」
アンリがオスカーの口真似をして、同じように眉根を寄せる。
「オスカー大公も僕にヤキモチ焼いてるんじゃない?」
「ふふ、まさか」
アンリが誰も彼もひとくくりにするため思わず笑ってしまう。
「ニコライやほかの侍従も一緒だと言ったけど、ふたりきりでこっそり逢引だって言えばよかった」
「アンリ様ったら。大人をあまりからかうものではありませんよ」
「子ども扱いするなよ。エリーヌは僕と七つしか違わないだろう?」
「七つしかではなく、七つも、でございます」
エリーヌが訂正すると、アンリは不満そうに横目で見る。