皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「エリーヌ、少し歩こう」
「そうですね」
せっかく来たのだから、体を動かしたほうがいい。
アンリを先頭に、一向は湖を左手に見ながら歩きはじめた。
湖面を撫でる風がエリーヌのピンクブラウンの髪を揺らして逃げる。このところ屋内で過ごす時間が長かったため、ありのままの自然に接するのは久しぶりだ。
(あ、鴨だわ)
鴨が湖を悠然と横切り、そのあとを雛たちが懸命に追いかけていた。不慣れな泳ぎがかわいい。
「エリーヌはリオネルと結婚してよかった?」
アンリが振り返り、唐突に尋ねる。
「いきなりどうしたんですか?」
「率直な質問。どうなのかと思ってさ」
成人して予定通り皇帝となれば、アンリにも妃の話が持ち上がるだろう。本人の意向に関係なく進められる結婚が、どういうものか聞いてみたいのかもしれない。
「そうですね」
せっかく来たのだから、体を動かしたほうがいい。
アンリを先頭に、一向は湖を左手に見ながら歩きはじめた。
湖面を撫でる風がエリーヌのピンクブラウンの髪を揺らして逃げる。このところ屋内で過ごす時間が長かったため、ありのままの自然に接するのは久しぶりだ。
(あ、鴨だわ)
鴨が湖を悠然と横切り、そのあとを雛たちが懸命に追いかけていた。不慣れな泳ぎがかわいい。
「エリーヌはリオネルと結婚してよかった?」
アンリが振り返り、唐突に尋ねる。
「いきなりどうしたんですか?」
「率直な質問。どうなのかと思ってさ」
成人して予定通り皇帝となれば、アンリにも妃の話が持ち上がるだろう。本人の意向に関係なく進められる結婚が、どういうものか聞いてみたいのかもしれない。