皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「えっ、どうしてですか?」
アンリの魔力は氷属性のはずだ。
「魔石は水色なのにって?」
「……はい」
「よく見て」
アンリは袖を捲り上げ、バングルをエリーヌの前に突き出した。
「水色ですよね……あ、えっ? 薄っすらと赤いラインが……!」
「そう。氷属性の魔石には違いないんだけど、火も多少は扱える。まぁ、そっちは弱い魔力だけどね」
「そういえばダリル様にお借りした本にも、アンリ様のように珍しい魔石の話が書いてありました」
通常、魔石は一色だが、ごく稀に二色発現することもあると。
リオネルの金色といい、皇族には稀有な魔石が誕生しやすいのだろうか。吟味に吟味を重ねて結婚相手を選んできたため、魔力の増大や希少性が増すのかもしれない。
(なんの魔力もない私では、やっぱり無理な話なのよね。……でも、それでもいいの)
五年後の離縁がチラついて胸がチクンと痛んだが、エリーヌだからこそ全うできる役目だと気持ちを切り替える。
アンリの魔力は氷属性のはずだ。
「魔石は水色なのにって?」
「……はい」
「よく見て」
アンリは袖を捲り上げ、バングルをエリーヌの前に突き出した。
「水色ですよね……あ、えっ? 薄っすらと赤いラインが……!」
「そう。氷属性の魔石には違いないんだけど、火も多少は扱える。まぁ、そっちは弱い魔力だけどね」
「そういえばダリル様にお借りした本にも、アンリ様のように珍しい魔石の話が書いてありました」
通常、魔石は一色だが、ごく稀に二色発現することもあると。
リオネルの金色といい、皇族には稀有な魔石が誕生しやすいのだろうか。吟味に吟味を重ねて結婚相手を選んできたため、魔力の増大や希少性が増すのかもしれない。
(なんの魔力もない私では、やっぱり無理な話なのよね。……でも、それでもいいの)
五年後の離縁がチラついて胸がチクンと痛んだが、エリーヌだからこそ全うできる役目だと気持ちを切り替える。