皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
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もうどれくらいここにいるだろう。
マティアスから引き離され、ミュリエルは恋しい気持ちを抱えながら何度この窓から沈む夕日を眺めたのか。指を折って数えるには長すぎる月日が経過していた。
「マティアス様……」
今、彼はどうしているだろう。
鉱山が欲しいがために母国同士がはじめた戦いは熾烈を極め、どちらにも多くの負傷者が出ている。このまま争いが長引けば、国そのものの存続が難しくなるだろう。
ミュリエルの聖魔法をもってしても、制御ができないほど戦いは大きくなっていた。
(私はいったいどうしたらいいの……)
ミュリエルは窓辺に蹲った。
目を閉じて浮かんでくるのは、マティアスと過ごした幸せな日々。どのシーンにも彼の優しい笑顔があり、ミュリエルの胸を締めつける。
命を落としていく人々を思い、彼恋しさに涙が頬を伝ったそのとき、ノックもなしに部屋の扉が開いた。
「ミュリエル、今すぐ下へ来なさい」
もうどれくらいここにいるだろう。
マティアスから引き離され、ミュリエルは恋しい気持ちを抱えながら何度この窓から沈む夕日を眺めたのか。指を折って数えるには長すぎる月日が経過していた。
「マティアス様……」
今、彼はどうしているだろう。
鉱山が欲しいがために母国同士がはじめた戦いは熾烈を極め、どちらにも多くの負傷者が出ている。このまま争いが長引けば、国そのものの存続が難しくなるだろう。
ミュリエルの聖魔法をもってしても、制御ができないほど戦いは大きくなっていた。
(私はいったいどうしたらいいの……)
ミュリエルは窓辺に蹲った。
目を閉じて浮かんでくるのは、マティアスと過ごした幸せな日々。どのシーンにも彼の優しい笑顔があり、ミュリエルの胸を締めつける。
命を落としていく人々を思い、彼恋しさに涙が頬を伝ったそのとき、ノックもなしに部屋の扉が開いた。
「ミュリエル、今すぐ下へ来なさい」