皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
すぐさまステインからべつの攻撃が放たれる。息をつく間もない。


凍針(フローズンニードル)
風魔切り(ジンスラッシュ)


何百と飛んできた氷の針を風で巻き上げ、ステインに跳ね返す。彼はそれをマントで華麗に弾き飛ばし、城の壁に次々と突き刺さった。


「小癪な。その程度で私に勝てると思うなよ」
「驕り高ぶっているのはどちらでしょうか。火炎流(プレゲトーン)!」


マティアスの放った炎が濁流のごとくステインを取り囲む。王の間の温度は一気に上がり、熱風が巻き起こった。


「ぐぬっ……!」


熱さがステインの顔を歪める。

(このまま一気に炎で……)

マティアスが〝炎熱地獄(ゲヘナ)〟を唱えようとしたそのとき――。


「いったい何事ですか!?」
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