皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
(それにしても、あの詠唱……。夢で見たミュリエルを真似た、おまじないも同然の詠唱が、アンリ様の傷を癒しただなんて信じられないわ)
夢の中でミュリエルもエリーヌと同じ透明の魔石を身に着けている。
(この魔石、本当は魔力を持っているの……?)
左手首の魔石をまじまじと見つめながら、このところたびたび見る夢を思い返す。ミュリエルを他人と思えない不思議な感覚が、エリーヌを困惑させた。
「エリーヌ様、少しお疲れなのではないですか?」
複雑な表情を疲れと勘違いしたようだ。アガットは眉尻を下げてエリーヌを見つめた。
「昨日の今日ですもの。少し横になってお休みになられたほうがよろしいかと思います」
平気だと突っぱねるのは簡単だが、アガットをかえって心配させてしまうだろう。
ここは素直に従って寝台に横になったほうがいい。
「そうね、そうするわ。もしも陛下からまた文が届いたら起こしてくれる?」
「承知いたしました」
夢の中でミュリエルもエリーヌと同じ透明の魔石を身に着けている。
(この魔石、本当は魔力を持っているの……?)
左手首の魔石をまじまじと見つめながら、このところたびたび見る夢を思い返す。ミュリエルを他人と思えない不思議な感覚が、エリーヌを困惑させた。
「エリーヌ様、少しお疲れなのではないですか?」
複雑な表情を疲れと勘違いしたようだ。アガットは眉尻を下げてエリーヌを見つめた。
「昨日の今日ですもの。少し横になってお休みになられたほうがよろしいかと思います」
平気だと突っぱねるのは簡単だが、アガットをかえって心配させてしまうだろう。
ここは素直に従って寝台に横になったほうがいい。
「そうね、そうするわ。もしも陛下からまた文が届いたら起こしてくれる?」
「承知いたしました」