皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「さぁ行きましょう」
アガットの手を取り、扉を開けた瞬間、エリーヌの目に見違えた花壇が飛び込んできた。
赤青黄色に白、色とりどりの花たちが花壇を埋め尽くしている。
ランシヨンにいた頃を不意に思い出した。咲き乱れる花に囲まれていたときのことを。
思わず足を止めたエリーヌの手を、今度はアガットが引く。
「エリーヌ様、もっと近くで見ましょう」
つい先ほどまで尻込みしていたのが嘘のよう。エリーヌが言葉を失くすほど喜んでいるのを見てアガットもうれしくなったのだろう。
そばで立ち止まった花壇では、花たちが優しい風にゆらゆらと揺れていた。
(マーリシアは元気にしているかしら)
ふとランシヨンにいる義理の妹の顔を思い浮かべる。
エリーヌがいなくなり寂しくないか。ちゃんとご飯は食べているか。
(マーリシアともよく一緒にサシェを作ったわよね)
ふたりで賑やかに話しながら庭の花を摘み、乾燥させ、楽しい時間を過ごした。
アガットの手を取り、扉を開けた瞬間、エリーヌの目に見違えた花壇が飛び込んできた。
赤青黄色に白、色とりどりの花たちが花壇を埋め尽くしている。
ランシヨンにいた頃を不意に思い出した。咲き乱れる花に囲まれていたときのことを。
思わず足を止めたエリーヌの手を、今度はアガットが引く。
「エリーヌ様、もっと近くで見ましょう」
つい先ほどまで尻込みしていたのが嘘のよう。エリーヌが言葉を失くすほど喜んでいるのを見てアガットもうれしくなったのだろう。
そばで立ち止まった花壇では、花たちが優しい風にゆらゆらと揺れていた。
(マーリシアは元気にしているかしら)
ふとランシヨンにいる義理の妹の顔を思い浮かべる。
エリーヌがいなくなり寂しくないか。ちゃんとご飯は食べているか。
(マーリシアともよく一緒にサシェを作ったわよね)
ふたりで賑やかに話しながら庭の花を摘み、乾燥させ、楽しい時間を過ごした。