皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「エリーヌ様!」
「ほらほら、アガットもおいでって」
「は、はいっ」
アンリに命じられ、アガットと彼の侍従も慌ててついてくる。
「あの、アンリ様、お手を……」
「あぁごめん」
素直にエリーヌの腕を開放したアンリの背中をアガットと追いかける。彼は軽い足取りで翡翠宮の中に入っていった。
(ここを訪れるのは初めてだわ)
連続する半円アーチを大理石の太い円柱が支え、側廊をカラフルなステンドグラスが彩る。
エリーヌが足を踏み入れたことがある建物は貴族たちが仕事で忙しなく行き交う宮殿と、それとは対照的にゆったりとした時間が流れる瑠璃宮だけ。こちらも公務が行われる場所でないせいか、瑠璃宮と同様の穏やかな雰囲気だ。
侍従たちがエリーヌに気づいて恭しくかしこまるため、そのたびに微笑みかけた。
「アガット、ここへ来たことはある?」
「いいえ、初めてでございます」
小声で問いかけると、アガットは首を横に振って答えた。
「ほらほら、アガットもおいでって」
「は、はいっ」
アンリに命じられ、アガットと彼の侍従も慌ててついてくる。
「あの、アンリ様、お手を……」
「あぁごめん」
素直にエリーヌの腕を開放したアンリの背中をアガットと追いかける。彼は軽い足取りで翡翠宮の中に入っていった。
(ここを訪れるのは初めてだわ)
連続する半円アーチを大理石の太い円柱が支え、側廊をカラフルなステンドグラスが彩る。
エリーヌが足を踏み入れたことがある建物は貴族たちが仕事で忙しなく行き交う宮殿と、それとは対照的にゆったりとした時間が流れる瑠璃宮だけ。こちらも公務が行われる場所でないせいか、瑠璃宮と同様の穏やかな雰囲気だ。
侍従たちがエリーヌに気づいて恭しくかしこまるため、そのたびに微笑みかけた。
「アガット、ここへ来たことはある?」
「いいえ、初めてでございます」
小声で問いかけると、アガットは首を横に振って答えた。