皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
アンリにお願いされたアガットが困惑するのも無理はない。いくら成人もしていない十二歳の子どもとはいえ、皇妃を皇帝とはべつの男性とふたりきりにするわけにはいかないだろう。
「アンリ様、アガットを困らせないでくださいませ」
「べつに変な真似をするわけじゃないのに」
軽く嗜めると、アンリは唇を尖らせた。
「もちろん、それはわかっております」
「ならいいじゃないか。少しの間、エリーヌと話がしたいだけなんだ」
「それでしたら、アガットが部屋にいてもよろしいですよね?」
誰がいようと話ならできるはずだと提案するが、アンリはなかなか納得しない。駄々っ子のように首を横にぶんぶん振る。
「違う。そうじゃない」
「どうかしたのですか?」
多少わがままなところがあるのは知っているが、今日はいつにも増して聞き分けがない。
「アンリ様」
「アンリ様、アガットを困らせないでくださいませ」
「べつに変な真似をするわけじゃないのに」
軽く嗜めると、アンリは唇を尖らせた。
「もちろん、それはわかっております」
「ならいいじゃないか。少しの間、エリーヌと話がしたいだけなんだ」
「それでしたら、アガットが部屋にいてもよろしいですよね?」
誰がいようと話ならできるはずだと提案するが、アンリはなかなか納得しない。駄々っ子のように首を横にぶんぶん振る。
「違う。そうじゃない」
「どうかしたのですか?」
多少わがままなところがあるのは知っているが、今日はいつにも増して聞き分けがない。
「アンリ様」