皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
アンリは深く頷いて続ける。
「その証拠に、僕もミュリエルを知っている」
「……では、アンリ様も同じ時を生きていた方なのですか?」
「顔は違っても初めてエリーヌを見たとき、すぐにわかったよ。キミがミュリエルだって。僕の傷を癒してくれたときにやっぱりそうだったと確信した。何度も転生を重ねて、今こうしてやっと見つけたんだ」
なんとアンリは婚礼の儀の際に、エリーヌからミュリエルを感じ取っていたと言う。
驚きとはべつに、アンリがエリーヌの質問に答えないため、もどかしさが募っていく。
(アンリ様は、もしかして――)
アンリの口ぶりから考えられる〝人物〟を想像して気が気でない。
「透明な魔石が、なによりの証拠だよ。ミュリエルは透明な魔石の保持者だった。聖女だったんだよ」
エリーヌは自分の左手首に目を落とした。
それならエリーヌも知っている。ミュリエルがマティアスの傷を癒す魔力を使ったのを夢で見た。
「エリーヌの夢には、ほかにも誰か出てきてる? たとえば……マティアス」
「その証拠に、僕もミュリエルを知っている」
「……では、アンリ様も同じ時を生きていた方なのですか?」
「顔は違っても初めてエリーヌを見たとき、すぐにわかったよ。キミがミュリエルだって。僕の傷を癒してくれたときにやっぱりそうだったと確信した。何度も転生を重ねて、今こうしてやっと見つけたんだ」
なんとアンリは婚礼の儀の際に、エリーヌからミュリエルを感じ取っていたと言う。
驚きとはべつに、アンリがエリーヌの質問に答えないため、もどかしさが募っていく。
(アンリ様は、もしかして――)
アンリの口ぶりから考えられる〝人物〟を想像して気が気でない。
「透明な魔石が、なによりの証拠だよ。ミュリエルは透明な魔石の保持者だった。聖女だったんだよ」
エリーヌは自分の左手首に目を落とした。
それならエリーヌも知っている。ミュリエルがマティアスの傷を癒す魔力を使ったのを夢で見た。
「エリーヌの夢には、ほかにも誰か出てきてる? たとえば……マティアス」