皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
エリーヌ自身の身の上話ではないのに、自分とは関係ないと言いきれないのは、ミュリエルの魂が今もここにあるからなのか。
自分の胸に手をあて、表しようのない感情に揺さぶられる中、ふと疑問が沸いた。
「アンリ様の魔石は、マティアスとは違うのですね」
マティアスはリオネルと同じ、金色だ。
エリーヌはミュリエルと同じ色を引き継いだが、アンリはそうではなかったのか。
「……そうだね」
アンリは袖口を伸ばしてバングルを隠し、言葉を続ける。
「でも、そういうこともあるんだと思う。全部が全部、前世と同じというわけじゃないよね。顔だって違うし」
アンリの言う通りだ。たまたま色が同じ魔石の力にも、歴然とした差がある。なにしろエリーヌのほうは魔力がないのだから。
自分の胸に手をあて、表しようのない感情に揺さぶられる中、ふと疑問が沸いた。
「アンリ様の魔石は、マティアスとは違うのですね」
マティアスはリオネルと同じ、金色だ。
エリーヌはミュリエルと同じ色を引き継いだが、アンリはそうではなかったのか。
「……そうだね」
アンリは袖口を伸ばしてバングルを隠し、言葉を続ける。
「でも、そういうこともあるんだと思う。全部が全部、前世と同じというわけじゃないよね。顔だって違うし」
アンリの言う通りだ。たまたま色が同じ魔石の力にも、歴然とした差がある。なにしろエリーヌのほうは魔力がないのだから。