皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
エリーヌの根拠のない自信をアンリが呆気なく打ち砕く。言われてみればそうかもしれないと、不安定な心と思考は簡単に揺らいだ。
「陛下がそうおっしゃっていたのですか?」
アンリが首を横にひと振りする。
「それでは、なぜそうお思いに?」
「エリーヌがミュリエルだと確信したのと同じ。魂の声が聞こえる」
それはエリーヌが持ち合わせていない感覚だ。エリーヌにあるのは夢に現れる記憶だけ。
「陛下とそのお話をされたことは?」
「まさか。そんな話はできないよ」
「陛下にも記憶が?」
「それはどうだろう。でも、あるからこそエリーヌを手に入れるために皇帝の力を使ったのかもしれない」
エリーヌとの結婚は、彼の意思ではなかった。魔力のない透明の魔石を持っているというだけの理由だ。
「それに、もしも記憶があったとしても隠すだろうね」
「陛下がそうおっしゃっていたのですか?」
アンリが首を横にひと振りする。
「それでは、なぜそうお思いに?」
「エリーヌがミュリエルだと確信したのと同じ。魂の声が聞こえる」
それはエリーヌが持ち合わせていない感覚だ。エリーヌにあるのは夢に現れる記憶だけ。
「陛下とそのお話をされたことは?」
「まさか。そんな話はできないよ」
「陛下にも記憶が?」
「それはどうだろう。でも、あるからこそエリーヌを手に入れるために皇帝の力を使ったのかもしれない」
エリーヌとの結婚は、彼の意思ではなかった。魔力のない透明の魔石を持っているというだけの理由だ。
「それに、もしも記憶があったとしても隠すだろうね」