皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「どうして! せっかくこうしてまた会えたのに!」
「アンリ様、落ち着いてください」
「落ち着いてなんていられない! 僕からエリーヌを奪うなんて許されないことなんだ!」
眉はつり上がり、眉間には十二歳とは思えないほど深い皺が刻まれる。まるで人が変わったような激昂ぶりだった。
「エリーヌ、お願いだから僕と結婚すると言って」
「それは無理です。私は陛下と――」
「そんなのダメだ! 許さない!」
拒絶を許さない厳しい口調に肩がビクンと跳ねた。
ただならぬ事態がエリーヌを動揺させる。アンリがエリーヌの腕を掴もうと手を伸ばしたが、隙を突いてソファから立ち上がる。ドアに向かって駆けだした。
「エリーヌ、待って!」
アンリの声を背にドアノブを引っ掴んで廊下に出る。
「エリーヌ様、どうかされましたか!?」
必死な表情に驚いたか、すぐ近くの椅子に控えていたアガットは飛び上がった。
「帰りましょう」
「は、はい」
アガットは狼狽しながらも、ドレスを翻したエリーヌを追いかける。
その後ろで開いたドアから、アンリがその様子をじっと見つめていた。
「アンリ様、落ち着いてください」
「落ち着いてなんていられない! 僕からエリーヌを奪うなんて許されないことなんだ!」
眉はつり上がり、眉間には十二歳とは思えないほど深い皺が刻まれる。まるで人が変わったような激昂ぶりだった。
「エリーヌ、お願いだから僕と結婚すると言って」
「それは無理です。私は陛下と――」
「そんなのダメだ! 許さない!」
拒絶を許さない厳しい口調に肩がビクンと跳ねた。
ただならぬ事態がエリーヌを動揺させる。アンリがエリーヌの腕を掴もうと手を伸ばしたが、隙を突いてソファから立ち上がる。ドアに向かって駆けだした。
「エリーヌ、待って!」
アンリの声を背にドアノブを引っ掴んで廊下に出る。
「エリーヌ様、どうかされましたか!?」
必死な表情に驚いたか、すぐ近くの椅子に控えていたアガットは飛び上がった。
「帰りましょう」
「は、はい」
アガットは狼狽しながらも、ドレスを翻したエリーヌを追いかける。
その後ろで開いたドアから、アンリがその様子をじっと見つめていた。