皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「今、マティアスと?」
「……その名がどうかしたのか?」
リオネルは不可解な反応が理解できない。まるで知っている人間のようだ。
(いや、そんなはずがないだろう)
架空の人物の名前なのだから。
「もう少し、話を聞かせていただけますかな」
「もちろんそのつもりだが」
リオネルはソファで身を乗り出すダリルに、このところ続けざまに見てきた夢の話をはじめた。
マティアスはリオネル同様に金色の魔石保持者であり、引き離された妻のミュリエルは、エリーヌのように透明な魔石を持っていた。その美貌と聖なる魔力は絶大で、大陸中の国が欲しがるほど。特に隣国の王子ノーマンドの執拗さは他の追随を許さない。
ついには鉱山を餌にしてマティアスとミュリエルの母国との間に争いを起こさせ、マティアスは父と死闘を繰り広げる結末に。
結果、マティアスは命を落とした。
単なる夢。そう片づけるにはリアルで割りきれず、戦いの感触は今も体に残る。魔石に精通しているダリルなら、なにかヒントになるようなものを与えてくれるかもしれないとここへやって来たのだ。
「……その名がどうかしたのか?」
リオネルは不可解な反応が理解できない。まるで知っている人間のようだ。
(いや、そんなはずがないだろう)
架空の人物の名前なのだから。
「もう少し、話を聞かせていただけますかな」
「もちろんそのつもりだが」
リオネルはソファで身を乗り出すダリルに、このところ続けざまに見てきた夢の話をはじめた。
マティアスはリオネル同様に金色の魔石保持者であり、引き離された妻のミュリエルは、エリーヌのように透明な魔石を持っていた。その美貌と聖なる魔力は絶大で、大陸中の国が欲しがるほど。特に隣国の王子ノーマンドの執拗さは他の追随を許さない。
ついには鉱山を餌にしてマティアスとミュリエルの母国との間に争いを起こさせ、マティアスは父と死闘を繰り広げる結末に。
結果、マティアスは命を落とした。
単なる夢。そう片づけるにはリアルで割りきれず、戦いの感触は今も体に残る。魔石に精通しているダリルなら、なにかヒントになるようなものを与えてくれるかもしれないとここへやって来たのだ。