皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?
「こちらは我がフローレス家に伝わる、世界に一冊しか存在しない書物になります」
「世界に一冊?」
「私ども魔石研究家が、国の歴史を後世に残す役割を担っているのはご存じだと思います」
「ああ、知っている」
国家の歴史は魔石なしでは語れない。それをもとにした争いが絶えなかった時代もある。
誰よりも魔石に精通している彼らが、歴史を記すのは自然な流れであった。
フローレス家は代々、魔石研究者を多く輩出し、この研究所の代表を務めている。
「だが、公に記しているものがあるだろう」
秘密裏に残すものではなく、皇族や身分の高い者であれば誰でも閲覧できる歴史書が。木属性の魔力により何冊も同じように作り、宮殿の図書室でも所蔵している。
「それとはべつに、でございます。見ておわかりかと思いますが」
ダリルは本を開きペラペラとページをめくった。
「これは……」
「世界に一冊?」
「私ども魔石研究家が、国の歴史を後世に残す役割を担っているのはご存じだと思います」
「ああ、知っている」
国家の歴史は魔石なしでは語れない。それをもとにした争いが絶えなかった時代もある。
誰よりも魔石に精通している彼らが、歴史を記すのは自然な流れであった。
フローレス家は代々、魔石研究者を多く輩出し、この研究所の代表を務めている。
「だが、公に記しているものがあるだろう」
秘密裏に残すものではなく、皇族や身分の高い者であれば誰でも閲覧できる歴史書が。木属性の魔力により何冊も同じように作り、宮殿の図書室でも所蔵している。
「それとはべつに、でございます。見ておわかりかと思いますが」
ダリルは本を開きペラペラとページをめくった。
「これは……」